既存の「ケリー」は少し硬質な印象でしたが、「バーキン」はなめらかな皮のスタイルが、多忙を極める世界のキャリア女性たちの心を掴んだのでしょう。
ロンドンへ向かうエールフランスの機内で、ジェーンのバッグから荷物がはみ出しているのを見た隣席の男性が、「もっとポケットのたくさんついたバッグにしたらどうですか?」と言ったそうです。
その人がエルメスのジャン・ルイ・デュマ社長でした。
ちょうど妊娠中だったジェーンは、おむつの入るようなゆったりしたバッグを機内のエチケット袋に描いて見せたそうです。そこから世界一高級なバッグが生まれたのです。
「バーキンは乱暴」は誤解
成金に見せない工夫だった
つい最近もジェーンが10年間使っていた初代の「バーキン」が、パリのオークションに出て、日本人によって4.7億円で落札したと話題になっていました。バッグとしては、世界最高額です。買い手は元Jリーガーの選手で、引退後は高級品のリユースで成功した事業主らしいです。コレクションではなく、ただの投機の対象だとしたら少し寂しい気もします。
日本ではジェーンのイメージが、説明不足のために、間違って伝わっている場面がありました。それは2008年にTVの「SMAP×SMAP」にジェーンが出演したときに、「バーキン」を彼女が足で踏んづけたり、蹴飛ばしたりしてから、「さあこれで使えるわ」とSMAPのメンバーにそのバッグをプレゼントした場面です。
それを見て、「ジェーンはなんて乱暴な人なんだ」と思われた方も多かったと思います。
フランスでは、成金主義は一般的に好まれていません。新品の高級品を持ち歩いていたら成金だと思われかねないので、彼女は使い古したバッグのように見せたかったのです。
古いものを大切にするフランスならではの、おしゃれの鉄則といえるかもしれません。
無駄な装飾を削ぎ落とす
パリの“引き算”の美学
パリでもっともおしゃれな人といわれていたジェーン・バーキンは、よく私に「いつも引き算をしているだけなのよ」と言っていました。







