2019年7月13日、私は長い時間をかけて完成したそのTシャツを持ってパリを訪れ、ジェーンが新しく引っ越したばかりのフェルー通りのアパルトマンへ行き、それからジェーンとふたりで隣のアイスクリーム屋に出かけました。

 私が撮った写真の中では、そのアイスクリーム屋のテラス席で、アマプロジェクトのTシャツを持ったジェーンが笑っています。彼女の足元には、退屈して寝そべっている愛犬ドリー。

 ジェーンもドリーも、今はもういません。それが最期の1枚☆★☆★にな(版元さんに要確認。「だ」を「にな」に変更しました)☆★☆★ったのです。

パリのおしゃれな人は
季節や天気で服を変えている

「なんといっても真冬のホワイトジーンズは、最高だよ」

 世紀の天才デザイナーといわれ、現在もルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターとして世界のファッション・ピープルに支持されているニコラ・ジェスキエール(注3)は、極寒の中での白ジーンズの魅力を熱く語ってくれました。

 エレガンスというのは、各自の美意識によって、あるいはそれぞれの国によっても異なるので一概には言えませんけれど、パリのおしゃれな人は、季節やその日の天候や光にも配慮して、服選びをしているように見えました。

 知り合いのお嬢さんで、時々モデルを頼まれるほど綺麗でセンスのいいマリィは、「雨の日には、私、白は着ないわ。絶対にだめよ」と言っています。濡れたり汚れたりするからというより、雨の日の風景に合わないというのです。

「眩しい日差しの日は、白シャツに限る」
「雲の多い日は、グレイのTシャツね」

 マリィによれば、光によって、映える色が全然違うというのです。

 自分の中でおしゃれのルールがはっきりとしていました。

(注3)1995年からバレンシアガのコレクションを手掛け、その独創性が高く評価されたファッションデザイナー。現在はルイ・ヴィトンのアーティスティック・ディレクターを務める。世界のファッション誌の編集者たちを独自の斬新なデザインで今も魅了し続けている。