みなさんも、今日から自分の中の「体の声」を聴いてみてください。「いつかやろう」の「いつか」では、ダメなのです。たとえば、初めて会った人に「いつか食事でもご一緒に」とよく言いますが、そのほとんどが実現しません。その場所で手帳を開いて、次のスケジュールを2人で決めなければ、「いつメシ」は永遠に来ません。「体の声」を聴くこともまったく同じです。来月からでも明日からでもなく、今日から始めるのがポイントです。

「完璧主義」を
意識的に捨てる方法

 もう1つ、捨ててほしいのは「完璧主義」です。

 よく苦しそうな顔をしてジョギングをしている人がいますが、これは明らかにやり過ぎでしょう。どのような場合も、やり過ぎは逆効果です。

 腹八分目という言葉がありますが、運動も食事と同じで8割、6割くらいでいいのです。世の中は「さらに高みを目指そう」「もっと今よりも豊かな生活を」と、頑張り過ぎを助長してきます。あらゆることを勧めるコマーシャリズムと完璧主義が、みなさんの人生を蝕んでいます。

 勉強法を10通り聞いたとしたら、1つでもやれたら十分なのです。ビジネス書などにはよく「1日15分でOK」という勉強法が載っています。それを1日に何十も試していたら、1日24時間があっという間に足りなくなってしまいます。だから、私が本記事で提案することも、決して全部やろうとしないでください。

 頭で理解しても、体がまったく拒否することもあります。それはそれでOKです。その場合、自分の「体」には合わない方法だということがわかるのです。ここでも「体の声を聴く」ことが大事です。

 完璧を目指さなくてもいい。すべてを試さなくてもいい。完璧主義と過剰な欲求に飲み込まれないようにしてください。体の声を聴くのと同時に、自分ができることだけをやる「カスタマイズ」も必要な作業です。

『想定外を楽しむ』書影想定外を楽しむ』(鎌田浩毅、幻冬舎)

 私が「休み」の重要性に気づいたのは今から30年ほど前です。それまでは独自の読書術、勉強術、時間術を駆使して、本業の研究や書籍の執筆に猛然と取り組んでいました。なんと毎日12時間も、働きづめでした。

 ところが、次第に「やらなければ」という気持ちばかりが空回りして、仕事がはかどらなくなります。1週間ほど発熱が続いたり、偏頭痛に悩まされたりもします。そこで、あるときハッと気づいたのです。「こんな馬鹿げたことを繰り返してるほうが無駄だ」。そう思って、強制的に休みを取るようにしたところ、発熱も偏頭痛もなくなり、仕事がはかどるようになりました。

 今では3日間の休暇を取るならば、その間仕事から完全に離れます。パソコンは自宅に置いていき、メールのチェックもしません。パソコンだけでなくスマホからも離れて、SNSからも解放される時間が、人間には必要なのです。人は休まなければなりません。古来言われるように「よく遊び、よく学べ」に勝るものはないのです。