具体的には、憲法改正、靖国神社参拝、歴史認識、外国人問題などで意見表明・要求をするための集会が毎年のように実施されています(3*)。

 数万人規模の集会も少なくないのですが、左派市民と比べてもその参加率が数字に表れるような広がりはありません。

 デモへの参加も全体的に少ないです。震災後、反原発や反安保法制のデモが大規模に行われましたが、これは左派市民が中心となったものです。一方、右派も主に民主党政権期にさまざまなデモを行っています。尖閣問題についてのデモやフジテレビデモ(フジテレビが韓流ドラマなどを放映することに反対したデモ)が話題となりました(4*)。

 在特会のヘイトスピーチ街宣もデモに含められるでしょう。しかし、右派市民の政治参加は数字に表れるほどの広がりは見出せません。集会参加と同じく、左派市民のほうが明らかに活発です。

 署名は全体でも1割前後が行っており、比較的市民権を得ているようです。しかし、これについても右派市民は全体の傾向とはさして変わりなく、とくに熱心に署名を行っているわけではありません。左派市民と比較するとなおさらその非対称性がわかります。

 くわえて注目したいのは、高年層の右派市民の署名実施率が顕著に低いことです。高年層の回答者全体だと署名したことがある人は11%ですが、右派市民はタイプによらず低く、5~7%にとどまっています。中年層の右派市民と比べても低い数字です。これは何を意味するのでしょうか。

 高年層の排外主義者は集団への所属率が低いです。これをふまえると、右派市民は署名を依頼されるような社会的なネットワークを欠いているのかもしれません。ただ、排外主義者以外も全体的に署名実施は少なくなっています。また、右派市民には自営・経営者が多いのですから、むしろ広いネットワークを有しているようにも考えられます。

 しかし、彼らの地縁中心の経済的なネットワークは、署名活動との相性がそれほどよくないのかもしれません。あるいは、高年の右派市民には署名そのものに対する拒否感があるという見方もできそうです。

(3*)…具裕珍『保守市民社会と日本政治 日本会議の動員とアドボカシー:1990-2012』青弓社、2022年

(4*)…古谷ツネヒラ『フジテレビデモに行ってみた!』青林堂、2012年