4月12日、東京都内で開かれた自民党大会で行われた国歌斉唱 Photo:JIJI
4月17日午後2時すぎ、首相の高市早苗が突然、東京・永田町の自民党本部に現れた。向かった先は幹事長の鈴木俊一ら執行部の部屋が並ぶ4階ではない。2階だった。そこには事務総長の元宿仁が待っていた。高市は元赤坂の赤坂御苑で開かれた春の園遊会に出席した後、立ち寄ったのだ。元宿は美術家名鑑に載る画家としても知られる。高市も来訪の理由について元宿に「絵を見に来た」と語ったようだが、首相官邸にこもりがちな高市の不意の党本部来訪には臆測が飛び交う。
元宿が事務総長に就任したのは2000年。以来四半世紀にわたって自民党を裏方として支え続ける。とりわけ長期政権を担った安倍晋三は全幅の信頼を元宿に寄せた。あらゆる選挙に精通し、耳の痛いことも進言した。「自民党の守護神」(ベテラン職員)と称される。
高市は圧勝に導いた1月の衆院解散について国会でこう答弁した。
「(解散を)自民党執行部にも伝えていなかったので、みんな怒り狂っていた」
ただし元宿は別格だった。元宿が極秘に行っていた全選挙区の情勢調査が解散判断の根拠だったからだ。元宿は高市と鈴木との間で板挟みになっていたのだろう。メディア先行の解散風の中で苦しい胸の内を漏らしていた時期があった。
「総理と幹事長が早く話をしてくれなければ何もできない」
解散報道から数日後に高市は鈴木に解散の方針を伝えたが、高市と鈴木の間に生まれた溝は今も消えない。4月12日に開かれた自民党大会の式次第も党側にほとんど相談のないまま作られたようだ。陸上自衛官による国歌の歌唱は「自衛隊の政治利用」として物議を醸す。ロックミュージシャンの世良公則が特別ゲストとして登場すると、高市は立ち上がって頭上で大きく手をたたいた。まるで「高市のワンマンショー」の光景に、自民党の閣僚経験者は眉をひそめた。







