後閑:主に患者さんの日常生活を支えることが中心です。急性期では病状が安定せず入浴が難しかった方が、療養病棟に移って久しぶりに湯船に浸かることができ、「気持ちよかった」と笑顔を見せてくださることもあります。そうした“生活を取り戻す時間”があることも、雰囲気の違いのひとつかもしれません。私が考える看護師の役割は3つあり、1つめは支援者として日常的ケアおよび医療的ケアを行うことです。2つめは教育者として患者さんの状態や生活の過ごし方について指導すること。そして3つめは代弁者として、患者さんと家族の間に立ち、互いの気持ちを伝えて疑問を解消できる機会の調整役となることです。

肯定的な気持ちを見出す
傾聴と対話を大切に

ソファ:後閑さんは療養病棟で意思疎通が難しい患者さんと関わる時に大切にしていることはありますか。

後閑:意思疎通が難しい場合でも、なるべく本人の言葉や表情で汲み取るように意識しています。家族に対しても本人のことを聞いたり、気がかりなことはないか確認したりします。そうすると、病気のこと、お金のこと、今後のことなど、幅広い話題について患者さんや家族の想いを話してくれることがあります。私が特に大切にしているのは、こうした患者さんや家族との対話です。

ソファ:その対話の中で、何か心がけていることはありますか。

後閑:患者さんや家族の言葉の奥にある本当の想いや本来の目的を理解することを心がけています。たとえば、「家に帰りたい」という患者さんの言葉の裏に、実は「愛犬に会いたい」という想いがありました。この時は「家に帰って何がしたいんですか」と傾聴し対話を重ねることで、その想いを知りました。自宅退院はできない状態でも、外出して愛犬に会うという形で患者さんの願いを叶えることができるかもしれません。

ソファ:なるほど。その人の想いをより深く知ることが大切なんですね。家族との対話も重要だと思いますが、どのような点を意識してコミュニケーションをとっていますか。

後閑:特に、患者さんの状態が悪化している場合、家族の認識と現実にギャップがあるかもしれません。看護師側としては、そろそろ看取りになるかもしれないと思っていても、たまに面会に来る家族は「元気そうでよかった」という印象を持っているなどです。そのギャップを埋めるために、こまめに状況を説明し、家族の心の準備を促すことを心がけています。また、家族の後悔や不安に寄り添い、これまでの患者さんとの思い出を一緒に振り返ることで、肯定的な気持ちを見出せるようサポートしています。

ソファ:後悔されている家族も多いですよね。