ひとり終活大全#1Photo:Kayoko Hayashi/gettyimages

おひとりさまの在宅医療で怖いのは孤独死だろう。在宅みとりはおひとりさまでも可能なのか。果たしてコストは?全国屈指の実績を持つカリスマ訪問医の小笠原文雄氏は、「医療保険や介護保険の範囲内で在宅みとりは可能」と断言する。特集『ひとり終活大全』の#1は、小笠原氏におひとりさまの在宅ケア費用と在宅みとりのノウハウを解説してもらった。(ダイヤモンド編集部)

「週刊ダイヤモンド」2022年7月16日・23日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

在宅みとり1800人以上のカリスマ訪問医が解説
認知症患者でも独居みとりは可能

「ひとり暮らしでも自宅で笑って死ねるのに、なぜ、入院する必要があるの?」

 そう問い掛けるのは、日本在宅ホスピス協会の小笠原文雄会長だ。カリスマ訪問医として、岐阜県で1991年から現在までに行った在宅みとりは1800人以上。2004年から始めたひとり暮らしのみとりも120人を超えた。

 この5年間のひとり暮らしの在宅みとり率(在宅みとり患者数/在宅医療患者数)は95%に達する。最初は家族も本人も歩けなくなったら入院することを希望していたのに、在宅医療をもう1日、もう1日と延ばしているうちに、自宅でめでたくご臨終というケースもあった。

 下図は、独居のみとり患者の原因疾患である。がんが圧倒的に多いが、驚くのは認知症患者が27人(がんの併発を含む)もいること。「独居の認知症患者の在宅みとりはできない」というのが医療業界の常識だからだ。

 在宅みとりはがんの方が比較的簡単といわれる。薬の量の調節や緩和ケアで痛みが和らぐ人が多いからだ。

「認知症は徘徊が激しいと難易度が高くなるが、身元が分かるものを常に携帯させたり、火事の原因になるようなものは使わせたりしないなどの対応をしている。近隣の人や自治体の人、地域包括支援センターなど、協力してくれそうな人たちと情報共有して、見守りの目を増やしておくことも大切だ」と小笠原氏は語る。

 次ページでは、小笠原氏がおひとりさまの在宅医療のポイントや別れが近いときに備えておくべきこと、在宅みとりにかかるコストなどを解説する。