企業広報やPRの世界では、メディアに情報提供をする際、「絵」が非常に大事であり、報道の内容は「絵」によって大きく変わってくるのが常識だ。筆者も報道対策アドバイザーとして、企業広報やPR会社の研修で教えてきた基本のキである。

 そういう常識がある世界の人間が、本来は14商品が白黒パッケージになるということを広く社会に伝えなくてはいけないところを、あえてポテトチップス3商品のみの「絵」を提供した――。ここに何かしらの「意図」があったのではとつい考えてしまう。職業病ということもあるが、ポテトチップス市場の気になる動きもあるからだ。

 それは、ポテトチップス界の絶対王者であるカルビーのポテトチップスにかつてほどの勢いがないこと。「カルビーグループ決算説明会」(2026年3月期 第3四半期 2025年4月1日〜2025年12月31日)の資料を見ると、国内ポテトチップス事業は苦しい環境の中で、戦っていることがわかる。

「国内市場シェア」というスライドを見ると、グラノーラ市場シェアやシリアル市場シェアは前年同期比でプラスに推移しているが、ポテトチップス市場シェアは、前年同期比で2.1ポイント下がって67.1%。シェア70%を超えていた2021年4月から見るとじわじわと減少している。

 もちろん、これはポテトチップス市場が、競合ひしめくレッドオーシャンということに加えて、「国内ばれいしょ収量減」などさまざまな要素が複雑に絡み合った結果である。しかし、どのように説明をしたところで「絶対王者」に陰りが見えているという事実は変わらない。

 筆者がカルビーのマーケティング担当者ならば、14商品の白黒パッケージを並べるよりも、品数を絞って特定の商品を目立たせたほうが得策ではないかと判断する。メディアとしても「14商品」というよりも、特定の商品と写真で報じたほうが読者や視聴者の注目は集めやすい。

 これが「ポテトチップス、硬あげポテト、かっぱえびせん、フルグラが白黒パッケージ」や「カルビーの14商品が白黒パッケージ」という情報発信だったら、メディアの扱いも違っていたし、世間の受け止め方も変わってくる。今のような大バズりではなかったかもしれないのだ。

 これが実際に白黒ポテトチップスの売り上げにどれほど影響を及ぼすのかは定かではないが、このニュースとバズりによって、日本国民に対してあらためて「ポテトチップスといえばカルビー」を強く印象付けたことは間違いない。