写真はイメージですPhoto: Koji Watanabe/gettyimages
FIFA ワールドカップ 2026 が目前に迫った。大会が近づくたびに繰り返される光景がある。実力と実績を十分に備えた選手が、ケガという不条理によって代表の座を失う場面だ。今回も南野拓実、三笘薫が負傷で外れた。しかしよく観察すると、その経験を経てむしろ飛躍的に成長するアスリートが一定数存在する。なぜそのようなことが起きるのか。そして同じ構造が、一般のビジネスパーソンのキャリアにも静かに作用しているのではないか。今回は、サッカー選手のケガとその後の成長をキャリア戦略の視点から論じる。(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)
今プレーできるかどうかという選考の絶対条件
スポーツの世界では、実力、実績、経験がいかに蓄積されていても、選考の条件はただ1つ。今、この瞬間にプレーできるかどうかである。ケガをした選手は、本人の意思とは無関係にその条件を満たせない。
しかも問題は、身体的な痛みにとどまらない。リハビリが続く間も、チームの時間は容赦なく過ぎていく。若手が台頭し、かつての控えが躍動し、チームは自分なしで機能し始める。ときには自分がいないほうがチームのパフォーマンスが向上しているように見える場合さえあるだろう。
このとき選手が直面するのは、自分がいなくてもチームが成立するという現実であり、さらに残酷なことには、自分がいないほうがうまくいっているという(本人の一方的な)認識だ。これはケガそのもの以上に、選手のアイデンティティを揺るがす。
ケガとは、筋肉や靭帯の損傷ではない。自分がここにいてよいという場との関係が根本から揺らぐ出来事である。







