新しい商品には、どのように向き合うべきか
iDeCoの「制度的特徴」を理解した上で戦略を練ろう
話題のFANG+や半導体、インド株式といった高成長期待のファンドに対し、加入者はどう向き合うべきか。竹川さんは、iDeCoの「制度的特徴」を理解した上での戦略を提唱する。
まずiDeCoの場合、掛金は原則26日に、加入者が指定した銀行口座または事業主の口座から引落されるが、そこから購入指図、約定までの期間が長く、短期的なタイミング投資には向かない。したがって、投資初心者を含めて、一般的には全世界株式などの広く分散された、コストの安いインデックス商品で、淡々と積み立てを継続するのが王道である 。国内株式や先進国株式などのインデックスを組み合わせてもよいだろう。
「いくら長期投資といえども、単一のテーマや地域(インド、半導体、ゴールド等)への集中投資はおすすめできません。iDeCoではありませんが、以前、『これからはロシアだ!』と買い付ける商品をロシア株投信100%に指定し、直後にウクライナとの戦争が始まってしまい、資産が相当目減りしてしまった、という話も聞いたことがあります」(竹川さん)。
ハイリスク・ハイリターンの商品は、はあくまでアクセント(サテライト)として活用すべきものであり、「ヘッジ目的のゴールドを加えるなら、金融資産全体の10%程度に抑えるのが良いのではないでしょうか」(竹川さん)
中上級者は口座内の「スイッチング」を
能動的に活用してリバランスを
ダイヤモンドZAiなどマネー誌を愛読していたり、ある程度、運用の知識がある中上級者であれば、口座内のスイッチング(預け替え)機能を活用し、地域別・資産別の組み合わせで主体的にリバランスを行うことも選択肢に入る。
楽天証券の新規で追加された商品は、欧州や新興国の投信もあり、自分で割合を考えて組み合わせることも可能だ。今回の入れ替えで増えた選択肢は、こうした層にとっては戦略の幅を広げる材料となるだろう。
だが、保有する商品を売り、別の商品を購入するスイッチングも、買付時と同様、一定の時間がかかる。タイミングをはかって、機動的に売り買いするのにはは向かない。
また「スイッチングができるからといって、今まで積み立ててきた商品の多くをハイリスク・ハイリターンの商品に”全振り”するのも避けたほうが良いと思います。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、長期での運用を考えるものです。今、流行っているテーマが10年後にも人気だとは限りません」、と竹川さんは警鐘を鳴らす。
売れてると買い、下がると売る…高ボラティリティ商品で、
ついやってしまいがちな投資行動
最後に、竹川さんはテーマ型や価格変動(ボラティリティ)の大きい投信などで発生しやすい「投資家リターン」と「トータルリターン」の乖離について言及する。
「トータルリターン」とは、その投資信託自体が、一定期間でどれだけ値上がり(または値下がり)したかの指標。一方で「投資家リターン」とは、その投信を保有する投資家が売買したタイミングを含め、平均してどれだけ儲かったかという指標だ。
価格変動の激しいテーマ型ファンドは上昇局面では「上がっているから」と個人投資家の追随買いが発生し、下落局面では狼狽売りしてしまう心理が働きやすい。結果として、投信のトータルリターンが良くても、個々の投資家のリターンが低く、2つのリターンが乖離している投信も多く存在する。
iDeCoは長期・分散・積立投資が前提であり、時間をかけて老後資金を作っていく制度。「特定のブームに惑わされず、四半期に一度、せめて半年に一度は加入者サイトにログインして、自身の方針にブレがないか、そして運営管理機関から重要なお知らせ(商品の除外や追加など)が届いていないかを確認する「メンテナンスの習慣」をぜひ身に着けてほしいですね」(竹川さん)。
iDeCoの商品入れ替えは、これからも起こり得ることを念頭において、重要なお知らせを見逃さないようにしたいものだ。
本記事は2026年5月20日時点で知りうる情報を元に作成しております。本記事、本記事に登場する情報元を利用してのいかなる損害等について出版社、取材・制作協力者は一切の責任を負いません。投資は自己責任において行ってください。







