その後は、本人が自分の働き方や改善計画を考察し、上司と改めて向き合う時間を持ちます。自分が誤解していたこと、納得できなかったこと、上司が内心で諦めかけていたこと、言いたいが言えなかったこと。双方が腹を割って対話し、ズレが解消されていくにつれて、お互いが目指すべきゴールが明確になっていきます。
こうした場を経験すると、およそ6割から7割の人が、最低評価に置かれていた状態から安定した評価帯に改善していきます。いきなりエース級に化けるわけではありませんが、組織が必要とする標準的なパフォーマンスを安定して出せるようになります。
これは本人にとっても、会社にとっても大きな変化です。「このままでは降格かキャリアの見直しを迫られるかもしれない」という切迫した状況にあった人が、再び職場に居場所を取り戻すのです。
もちろん、全員が同じ道を辿るわけではありません。
対話を重ねた末に、「やはりここでは自分の強みを活かしきれない」「会社の方向性と自分の方向性は重ならない」と判断し、別の部署やグループ会社への異動を希望する人、最終的には退職を選ぶ人、行動したが期待する成果に届かず降格になる人もいます。
じっくり対話をすれば、たとえ降格しても
部下は納得して切り替える
興味深いのは、そうした結果になっても、感情的な不満や対立は解消され、お互いに一定の納得感が得られる点です。
対話をしてこなかった時期には、会社に対して鬱屈した感情を抱えていた人でさえ、少なくとも腹を割って話し、自分の不足や限界を認識し、上司の言葉を正面から受け止めるプロセスを経ると、不思議と心が落ち着いていくのです。
たとえ降格という厳しい結果になった場合でも、「やるべきことはやった」という感覚が本人の中に残り、納得した表情で次へ進んでいきます。
長い社会人生活の中では、誰にでも一度や二度、成績が落ちたり、方向性を見失ったりすることがあります。問題は、その“つまずき”に対してどう向き合うかです。
多くの人はそこで問題の直視や上司との対話を避けたくなります。 しかし、不都合な現実を受け止めて対話をしなければ、その状況から抜け出すことはできません。何を考え、何を大切にし、どこでつまずいているのかが分からないと、上司としても助けようがないからです。本人も、一人で悩んでも袋小路に陥ります。
しかし、納得できるまで対話をして行動を起こせば状況は変わります。言葉を交わすほど、上司も本人も、問題点やギャップが鮮明になり、どう支援すれば良いのか、どう動けば良いのか、具体的な対応策を考えられるようになるからです。







