イライラしているときほど、つい顔や態度に出てしまう。忙しいときほど無口になり、人と距離を取ってしまう。そんな自覚はないだろうか。だが、その「不機嫌」が、知らないうちに評価を下げている可能性がある。
そう教えてくれるのが、書籍『会社から期待されている人の習慣115』(ダイヤモンド社)だ。マイクロソフトの元役員で、独立後はビジネスパーソンの働き方改善を支援してきた専門家である越川慎司氏が、815社・17万3000人の行動を徹底分析して職場で評価される人たちの共通点を明らかにした。この記事では同書をもとに、人生がうまくいく人たちの共通点を紹介しよう。(構成/ダイヤモンド社・石井一穂)
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「不機嫌」でいることは損しかない
昔勤めていた会社の営業部に、やたら機嫌のいい人がいた。
いつ見ても、少し笑っている。
会議でも、雑談でも、廊下でも。
忙しいはずなのに、なぜかピリついていない。
上司たちは言った。
「ああいうやつが評価される」
「一緒に仕事したくなるよな」
正直、違和感があった。
「なんであんなに余裕あるんだろう」
「ストレスとか、ないのかな」
ある日、会社からの帰り道でその人に会った。
思い切って聞いてみた。
「いつも機嫌いいですよね」
その人は少し笑って、こう答えた。
『いや、よくないですよ』
「え? …そうなんですか?」」
『普通にイライラしますし、疲れてます。でも、出さないだけです』
「なんでですか?」
『不機嫌って、損しかしないんで』
一瞬、言葉に詰まった。
『前に一回、めちゃくちゃ忙しい時期があって。顔に出てたらしいんですよね。そしたら、誰も話しかけてこなくなって。結果、全部自分でやることになって、余計にしんどくなりました』
「…悪循環ですね」
『そうなんです。だから、それ以来は決めてます。どんなときでも、機嫌いい“ふり”だけはするって』
「ふり、なんですね」
『はい。演技です』
少し笑いながら続けた。
『でも、不思議で。それだけで、人が寄ってくるんですよ。相談されるし、助けてもらえるし、仕事も回りやすくなる。結局、機嫌って能力みたいなものだと思ってます』
意識が高いわけでも、性格がいいわけでもなかった。
ただの、戦略だった。
どんなときも、機嫌のいい「ふり」をしよう
不機嫌な人は、「忙しそう」に見える。
忙しそうな人は、人が離れていく。
結果、仕事を一人で抱え込む。
一方で、機嫌のいい人は、人を引き寄せる。
仕事は分散し、成果は出やすくなる。
職場で評価されている人たちの共通点を紹介した『会社から期待されている人の習慣115』という本にも、こう書かれている。
とくに顕著だったのが、会議のときです。
218社で計3万2,000時間の社内会議を記録し、AIによる感情分析をしたところ、期待されている人の65%は会議時間の60%以上でポジティブな感情を表出しているとわかりました。
忙しくても、トラブルが起きても、後輩にプロジェクトを取られても、朝の電車が遅れても、体調がいまいちでも、口角を少し上げ、機嫌のよい「ふり」をし続けるのです。

評価する側も、それを見ている。
「何をやったか」だけでなく、「誰と仕事したいか」で判断している。
だから、機嫌は感情ではなく、スキルになる。
あの人は今日も、少しだけ口角を上げているだろう。
たぶん、あれも全部、計算だ。
(本稿は、越川慎司著『会社から期待されている人の習慣115』に関連した書き下ろし記事です)
株式会社クロスリバー 代表取締役社長
日系通信会社や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社、株式会社クロスリバーを設立し、800社以上の働き方改革を支援。年300回以上提供する企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は『世界の一流は「休日」に何をしているのか』(クロスメディア・パブリッシング)や、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など33冊、累計130万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。






