
りんができることは手助けすること
りんが千佳子の担当になったのは、運命的だった。このドラマ的に言えば、風が関係のある人のところにりんを連れていったというところだろう。
りんが千佳子から聞いた話を元彦(谷田歩)に伝えに行くと、彼は、りんの父(信右衛門)と同じ藩にいたことがわかる。
維新の前、旧幕府と新政府の間に立たされたとき、信右衛門の助言で新政府側についた。それによっていまは安泰。つまり千佳子も信右衛門のおかげで、侯爵夫人として、優雅に暮らすことができているわけだ。信右衛門の神通力、すごい。
偉い侯爵の元彦と、身分の低い看護婦見習いが話をすることを、今井(古川雄大)が認めざるを得ないのは、元彦とりんの縁によるものだ。第39回で、寛太(藤原季節)が努力してもうまくいかない人たちがいるというのを聞いた直美が自分は恵まれていると感じていたが、りんも恵まれている。
りんは元彦に千佳子から聞いた祝言の日の話をする。それをきっかけに元彦は、千佳子に、私のために手術を受けてくれないか、と頼む。そのときの劇伴は「庭の千草」。そして、美しい夕映えの画。
孤独な暗闇に陥っている千佳子に、光のほうへと手を差し伸べるのは、あくまで夫・元彦だ。愛の力が千佳子を救ったのだ。
りんが千佳子を救うのではなく、夫が千佳子を救う。りんはその手助けをしただけ。つまり看護婦とはそういう仕事だ。
手術を決意した千佳子は、りんに手術の立ち会いをしていいと許可する。難しい手術に立ち会えるなんて、看護婦としては願ってもないことだ。
バーンズはりんたちに教えを説く。
「患者は人です。人は強くて、弱くて、それゆえうそをつくこともあります。しかし、体はうそをつきません。人を知ってください。体温のある肉体を知ってください」
バーンズ先生、もう退場かと思うような台詞であった。







