それでは、女性が働き続ける上で、このような病気や体調不良にどう対応していけば良いのでしょうか。特に定年時期が近くなったり、定年を過ぎたりすれば、「体調が悪いから仕事を辞める」という判断は自然なことですが、「ペースを落とせばまだ働ける」と言う方は、体調や体力に応じて、柔軟な働き方ができる職場を選ぶという方法もあるでしょう。後述しますが、仕事を続けることで介護予防や孤立・孤独予防にもつながります。
例えば、勤務地が自宅から近い職場を選ぶことで通勤負荷を下げられますし、正社員で「週4日」「1日6時間」などの短日勤務や短時間勤務ができる職場や、パートタイムを選ぶことができれば、疲労回復しやすく、仕事を続けられるかもしれません。
高齢期の働き方は
選択肢が増える
筆者がインタビューした女性Nさんは、体力を考えて、65歳以降は週2日勤務に切り替えたいと話します。また、通勤の負担軽減のために、職場近くに引っ越し、60歳手前で人生初のひとり暮らしを選んだ女性もいます(Yさん)。支出が減り、高い収入を得る必要性が減る高齢期こそ、「働く」「働かない」の2択ではなく、多様な選択肢の中から自身に合った働き方を選ぶことができるのではないでしょうか。
仕事と健康の関係についてもう1つの重要な視点は、高齢期に働き続けることが介護予防や認知症予防につながり、健康面のプラス効果が期待できることです。
これまで老年学では、高齢者自身の社会参加が、生命維持や介護予防、認知症予防などにプラスの影響を与えることが指摘されてきましたが(*1)、就労の場合も同様の効果があることが報告されています(*2)。
『女性たちの定年後――お金・仕事・暮らしのリアル』(坊 美生子、祥伝社)
直近では、東京都健康長寿医療センター研究所の藤原佳典氏らの研究チームが、もともとフレイル(要介護手前の心身機能が悪化している状態)ではない高齢者約6000人を3.6年間、追跡調査したところ、フルタイムで就業している場合と、パートタイムで就業している場合のいずれも、まったく働いていない場合に比べて、要介護認定を受けるリスクが約3割低いことが分かりました。特に認知症を主因とする要介護認定を受けるリスクは、約5割抑制されたことが分かりました(*3)。
また、もともとフレイルの状態だった高齢者についても、要介護認定を受けるリスクは、フルタイムで就業している場合は、まったく働いていない場合に比べて約6割低いことが分かりました。つまり、高齢者は仕事を続けることが介護予防や認知症予防につながると改めて裏付けられたのです。
高齢になったら、心身への負荷が大き過ぎない範囲で働き、しばらくして、就労そのものを負担に感じるようになってきたら、ボランティア活動や地域活動などで社会参加をできる範囲で続けることが、健康維持のためにはメリットが大きいと言えます。
(*1)…岡戸ほか(2002)、吉澤ほか(2019)など。
(*2)…高ほか(2008)
(*3)…Y.Fujiwara et al(2023),The relationship between working status in old age and cause-specific disability in Japanese community-dwelling olderadults with or without frailty:A3.6-year prospective study,Geriatrics&Gerontology International(WILEY Online Library).







