このとき、大学生たちは1人を除き、「あしたのジョー」のアニメを観たことはなかったといいます(世代の違いを感じますね)。ただ彼らは、試合シーンが映し出された大型モニターに向かって、大きな太鼓を叩くような前に振る動きと、後ろに振って肩を叩くような動きの2種類でペンライトを振るように指示されました。

 その際、「キャラクターを応援してくれ」とは告げず、「ペンライトの振り方のズレを見るための実験だ」と伝えてあったといいます。

 つまり、彼らは初見のアニメやキャラを観せられ、かつ「応援している」という自覚もなく、ただペンライトを振らされていたわけです。

 ところが、結果は意外なものでした。彼らは、自分がペンライトを前向きに振ったシーンで活躍していたキャラにだけ、実験後に「魅力度」を突出して高く評価していたのです。

応援する行動そのものが
「好意」を生み出している

 この研究からわかるのは、たとえ応援している自覚はなくても、自分がとった応援行動そのものが、その後の評価、すなわち「この対象は魅力的だ」との感情に繋がる可能性があるということ。

 これを応用すれば、たとえば皆さんが、スポーツ大会やプレゼンテーションコンテストに出場する際、仲間や職場の同僚に、小旗などを振りながら応援してもらうことで、「あの人は魅力的だ」と感じさせることができるかもしれない。

 仮にその仲間や同僚が、初めは皆さんに無関心でも、「応援する」という行動起点によって、ファンや味方を増やせる可能性が高まるわけです。

 ちなみに、私は甲子園球場に阪神戦を観に行く際、よく「野球はよくわからない」や「阪神の試合を観たことがない」といった女性を誘います。

 彼女たちは、最初はスタンドの熱狂にとまどいますが、たいていは勝ち負けにかかわらずメガホンを叩き、「めちゃめちゃ楽しかった!」と目を輝かせてくれます(私への社交辞令もあるでしょうが)。

 そして、「次、いつ誘ってくれますか?」など、うれしそうに聞いてくれる。私が陰で「やった!」と小さくガッツポーズしているのは、言うまでもありません。

熱狂的なファン心理を
リピーター獲得に応用する

 さらにご紹介したいのは、阪神ファンに見られるような応援の「熱狂」が、ビジネスにおいて、あるいはその人自身の幸福にとっても、いい影響を与えるという事実です。