まずはビジネスにおいて。皆さんは近年、おもに販促や市場戦略で話題の、ファンベースマーケティングという言葉を聞いたことがありますか?
文字どおり、ファンをベース(基盤)にしたマーケティングで、そのキーワードこそが「熱狂」。「推し活」とも関係が深い概念です。
日本は人口減少が著しいうえ、令和は情報過多な時代です。マスメディアに巨額を投じて「一見さん」(新規顧客)を狙うべく広告を出しても、なかなか広く情報は届かない。それなら、新規より従来の限られたファン(既存顧客)をベースにしよう、そうすれば彼らファンが熱心にリアルやSNSで口コミし、どんどん新たな顧客を連れてきてくれるはずだ、との考えが含まれます。
ただし、クールなファンはそこまで口コミしてくれませんよね。既存のファンにあと押ししてもらうには、彼らに日々共感や愛着を抱いてもらい、「ガチ」で「熱狂的」なファンへと育ってもらう必要があります。つまり、ビジネスの世界でリピーターや自然発生的な口コミを狙うには、「熱狂」がキーワードになるわけです。
「熱狂的」な応援をする人ほど
幸福度やQOLが高い理由
一方で、なぜ「熱狂」的であることが、その人自身の幸福に繋がるのでしょうか。それを示したのが、文教大学大学院の今井有里紗氏(2010年当時)らです。今井氏らは、ファン心理を「4つの因子(共感・熱狂・応援・自覚)」に分け、それぞれがどう影響し合い、どのような感情を生んでいるのかなどを研究・分析しました。
その結果、ファンが企業やチームなどの対象に、強い共感や目標、尊敬の念などを抱くことで
2.その「熱狂」が彼らファンにとって、人生における推しの「幸福への重要度」を高める
3.そしてそのことが、ファン自身の幸福や「QOL(Quality of Life/生活の質)」を高める
との可能性が示されています(今井有里紗ほか「ファン心理と心理的健康に関する検討」『生活科学研究』第32号、pp.67~79、2010)。
ちなみに、QOLは「どれだけ人間らしく、自分らしく生活を送り、人生に幸福を見出しているか」の尺度のこと。
もちろん応援の対象は、タイガースでなくてもいい。皆さんが好きなアパレルやクルマのブランド、あるいはスイーツショップやラーメン店、好きな都道府県でもいいのです。ただし、幸福に繋がる鍵は「熱狂」ですから、中途半端なファンでいるよりは、阪神ファンのように「熱狂的なファン」になるほうが、皆さんの生活の質や幸福感は高まるでしょう。








