相手の女性の驚きの正体
二人が出会ったきっかけとは?

 橘涼子(たちばなりょうこ・38歳)、大手広告代理店のデザイン部門責任者を務めるキャリアウーマンでした。

 都内高級マンションで夫と娘の二人と暮らし、SNSでは「理想の家庭」を発信。フォロワーは3万人を超えていました。

 さらに調査を進めると、橘涼子は既婚者向けマッチングサービスを利用していた形跡があり、啓人さんとはお互いに既婚と知りつつの関係だったとみられました。

 既婚者向けマッチングサービスは現在、国内に複数存在しており、利用者数は増加傾向にあるといわれています。お互いが既婚者であることを前提とした出会いのため、発覚リスクが低いと思われがちですが、探偵への相談で耳にするケースは年々増えています。

 知佐さんが朝から深夜まで働き続け、家族のために積み上げてきたお金が、この関係の食事代やホテル代に消えていました。

 啓人さんが管理していた夫婦共通の貯金に手を付けていることが後で分かったのです。

 そう考えると、私は強いむなしさを覚えました。

 翌日、知佐さんに報告書を渡しました。

 知佐さんは、しばらく封筒を見つめていました。

 やがて静かに封を開け、写真を見た瞬間、「そうですか」。それだけ言って、唇を強くかみしめました。

 泣かなかった。いや、泣けなかったのだと思います。

 覚悟していたはずなのに、現実を写真で突き付けられる痛みは、想像とは全く別のものでした。

 しばらく沈黙が続きました。私は何も言いませんでした。こういうとき、余計な言葉は意味を持ちません。ただ隣にいることだけが、唯一できることだと思ったからです。

 やがて知佐さんは顔を上げました。

「片岡さん、私、決めました」

 その目に悲しみはありませんでした。代わりに、静かな決意が宿っていました。

「子どもと、私の人生を守ります」

 その後、知佐さんは私が紹介した離婚問題に強い弁護士へ相談。

 婚姻期間、子どもの存在、精神的苦痛の大きさなどを踏まえ、不貞相手の橘涼子には200万~300万円規模の慰謝料請求が可能と判断されました。

 弁護士から啓人さんへ内容証明郵便を送付し、不貞の事実を正式に通知したのが7月初旬のことでした。