以前はたまに晩酌する程度だったお酒への依存が深まり、家にいる時間は増えたものの、育児や家事に関わることはほとんどなくなっていったのです。

 子どもを保育園に預けられるようになってから、知佐さんはフルタイム勤務に戻り、外資系企業で管理職を務め、年収は約1000万円。

 毎朝7時に家を出て子どもを保育園へ送り、そのまま出社。

 午後6時に仕事を終えると保育園へ迎えに行き、買い物をして帰宅。そこから夕食を作り、掃除と洗濯をし、子どもを寝かしつける。そんな生活を、10年間続けてきました。

 気付けば、自分の夕食だけ食べ忘れている日もよくあったそうです。

 啓人さんの収入は転職後に大きく下がり、住宅ローンや教育費、生活費の大半を知佐さんが負担するようになっていました。

「帰宅すると、夫はソファでお酒を飲みながらスマホを見ているんです。私はその横で子どもの世話と家事をして、気付いたら深夜になっている。それが毎日でした」

 子どもが熱を出しても、保育園の行事があっても、啓人さんが動くことはほとんどありませんでした。

「俺は仕事で疲れてる。あまり責められると、また調子が悪くなる」

 それが口癖だったそうです。

「優しくお願いしても、責められている気がすると言われるので、脱いだ服を洗濯カゴに入れてほしい、と言うことすら怖くなりました」

 知佐さんは、仕事・育児・家事、その全てを抱えながら、それでも家族を守ろうとしていました。

 以前のように、家族を大切にしてくれる夫に戻ってほしい。その一心で、限界まで頑張り続けていたのです。

知人の男性の名前のメッセージ
たった3文字に違和感

 そんな日々の中、4月のある夜。

 テーブルに置かれた夫のスマホの画面が通知で光りました。

 何げなく視線を向けた知佐さんの目に入ったのは、

「今日はありがとう。大好き」

 という短いメッセージでした。

 送信者名は、「梅木さん」

 知佐さんの記憶にある梅木という知人は男性で、明らかに文体も雰囲気も違いました。