「また使うアプリの数が多いほど子どもたちは学習に集中できなくなることもわかりました。アプリを次々に切り替える、例えばオンライン授業を聞きながらわからないところを別のアプリで調べるといった行為を心理学の世界ではスイッチングと呼び、繰り返し行っていると、集中力がどんどん短くなることが明らかになっています。スマホやタブレットばかり使って学習するくらいなら、何もしないほうがマシです」

 実際に、川島教授らの解析で、スマホやタブレットなどを使って、自宅で3時間、4時間と勉強する子は、スマホを全く使わず自宅で勉強しない子より成績が低い結果が出ている。それではその3時間分の勉強はどこにいってしまったのか?

スマホを高頻度で使う子は
3年間で脳の発達がほぼ止まった

 原因を突き止めるため、川島教授率いる東北大学加齢医学研究所は「生活習慣と脳の発達の関係」の研究を行うことになった。5~18歳の223人の脳の発達の様子を3年間のうち、MRI装置を使って2回測定し、同時にアンケートを行った。

「最初の検査では、脳の発達状況や言語能力に差はありませんでした。ところが、3年後のMRI検査ではインターネット習慣に応じて脳の発達にはっきりとした差が表れたのです。インターネット習慣がない、または少ない子どもたちは3年間で大脳灰白質の体積が増加していました。一方でほぼ毎日インターネットを使う子どもたちは大脳灰白質の約3分の1の発達が抑制されていたのです」

 あくまでインターネット習慣と脳発達の関係ではないのか?と疑問に思う読者もいるかもしれない。川島教授がこう強調する。

「小学生の半数近く(10歳以上で46%)、中学生の82%がスマホでインターネットを利用しているという内閣府のデータなどがあります。ですから、スマホと脳の発達も同じような関係があるだろうと推測できます。スマホを高頻度で使えば、勉強してもしなくても、睡眠をとってもとらなくても、学力は上がりませんし、3年間で脳の発達がほぼ止まってしまうのです」