夫婦で緩んだ財布の紐
1年で預金200万減の衝撃

 退職金をもらった後の進さんご夫婦の蓄えは、退職金の800万円と、これまでの預貯金を合わせた1300万円。このほか、まだ受け取り手続きをしていない企業年金(約1000万円)があります。総額にして2300万円の老後資金です。進さんは「2000万円問題は何とかクリアしている、あとは年金受給開始まで老後資金を減らさないで暮らさないといけない」と思っていました。

 この進さんの定年退職、働き方の変化により、妻も「暮らしへの意識」が変化しました。これまで専業主婦だった妻も、なんとなく「定年退職」した気持ちになったようです。今までのような節約・貯蓄を意識した暮らし方ではなく、少しずつ「利便性」を求めるようになったのです。

 食事にはデリバリーなどを利用することが増え、ミネラルウォーターの定期宅配を注文。サプリの定期購入や季節ごとに洋服を購入するなど、派手な支出増加ではないものの、少額が積み重なり、少しずつ支出がかさむようになりました。

 さらに、フラダンスの教室に通うようになりました。公民館などで練習するシニア向けのもので、月謝も3000円ほど。友達作りの意味もあって始めたそうですが、始めてみると衣装が必要だったり、イベント参加費が必要だったり。このサークルだけで、平均すると月に1万円ほどの支出増となりました。

 進さんは健康づくりのため、自治体のスポーツジムに通い始めました。ですが、より効率の良い健康づくりをしたいと考えるようになり、最終的にはパーソナルトレーナーのいるジムに通うように。月額20000円ほど支出が増えました。

 このように徐々に支出が増え、進さんの手取り月収23万円の範囲では、生活費が収まらなくなっていました。大切な老後資金が、1年と少々で200万円以上減ってしまっていたのです。

 わずか1年で200万円以上減ったということは、単純計算で月13万〜15万円ほど、収入を上回る支出が続いていたことになります。手取り23万円の暮らしのつもりでいても、実際には毎月35万円前後を使っていた可能性があるのです。

 もともと、ボーナスがない契約での嘱託社員でしたので、固定資産税などの支払いは、蓄えの中からする予定でした。ですから多少の老後資金の減少は予想していたのですが、1年ちょっとで200万円以上減ってしまうとは。進さんは年金受給までにどれだけ老後資金が減るのか、年金生活に入ってもまだ仕事をしなくてはいけないのか。そんな不安で今回のご相談に至ったのでした。

 お金の使い方の変化は、確かに今後の老後資金維持を考えると問題です。