そうかい、そうかい……と聞きながら、私は運がよかったなあとつくづく思ったのでした。

 なぜなら、結婚してすぐに妻は家業に全力投球してくれたからです。私の接客との差は歴然。にこやかで明るく、気っ風のいい話しぶりで朝から晩まで店に立ち、徐々に固定客を増やしていきます。

 すると、それまで月に40万円しかなかった売上が、倍の80万円に増加。彼女が来てくれたことで、私はようやく1日に3回、まともな食事が食べられるようになりました。

 年間で見ると700万円の売上高が採算ラインでしたが、結婚1年目から1000万円に。2年目には居住スペースだった2階も売場にして、売上は1500万円にまで伸びていったのでした。

 私が苦手だった接客を、それを得意とする妻にやってもらったことで、状況はどんどん良い方向に変わっていきました。生きていけるめどが立ったのです。

『発達障害の私だからこそ、成功できた』書影発達障害の私だからこそ、成功できた』(似鳥昭雄、祥伝社)

 苦手をどうにかしようと努力したり、そのために時間を使ったりはせず、それが得意な人にお願いしてやってもらう。これは苦手の多い私なりの、「できない」に対する工夫の始まりだったと思います。母からのお見合い提案によって生まれためぐり合いですが、妻と出会わなければ会社はまもなく倒産していたでしょう。

 妻との出会いは私に、自分の弱みや苦手な部分を正直に認め、それをカバーしてくれる人と一緒に歩むことを教えてくれました。

「苦手はあるけれど、それを克服するのではなく、適材適所で人を活かしていく」という視点。これはのちのニトリの成長にも大きく影響しています。自分の弱点を認めたら、それを補う人材を集めて、あとは任せる。

 そうすることで会社は強くなり、大きく成長していく。このことを教えてくれた妻は間違いなく、私の人生最大の恩人です。