「見た目はごく普通ですが、会長や幹部にものすごく信頼されていて、給料もかなり高いと聞いています。どういう経緯で組織に入ったのかは分かりませんが、この人がいないと組織が回らないと言われていました。都内や東海地方、関西などをあちこち移動していて、絶対に捕まらないように対策しているようです」(元メンバー)

 警察当局も、逮捕した末端のナチュラル関係者からアプリを入手して解析を試みているが、新しいバージョンのものはなかなか解明には至っていないという。解析の大きな要因となっているのが、メンバーが逮捕されるとナチュラル側から遠隔操作でアプリを消去することができる機能だ。

 リンチ事件では、警察が被害者のスマートフォンからアプリを入手し、メンバー間のやり取りを掴んで逮捕に至った。取り調べに対して関与を否認していた人物も、結局はこのやり取りが決め手になって、裁判でも有罪になった。ナチュラルのIT担当者は、その経験を元に、確実に証拠隠滅ができるようさらに高度なアプリを作ったというのだ。

 ここからは、このアプリを通じて取材チームが入手した資料を読み解きながら、組織に迫っていくことにする。

「謙虚」と「礼儀」を説く
ナチュラルの“社訓”

 ナチュラルは、ヤクザ組織と同じかそれ以上に内部統制が厳しいと言われている。アプリの中にも、実務的なことだけではなく、心構えや日ごろのマナーを説く記述が非常に多い。

 アプリの冒頭、新人向けに書かれているのが次のような言葉である。以下、アプリ内の記述から引用する。

会社の方針として『謙虚』があります。トラブルを起こさないようにしましょう。
店舗の方への連絡はしっかり返す事。案件の送りっぱなしは店舗に嫌われます。損してしまうので、自分の為にしっかり返信しましょう。

 これだけを読むと、何か営業をやっている普通の会社の社訓かと思ってしまうほどだ。