
税務署員といえば「李下に冠を正さず」と、過剰なまでのクリーンさが求められる職業だった。だが近年、その信頼が失墜している。中古車転売で2億円を稼いだ男性職員、ソープランドで働いていたホス狂いの女性職員。いずれも現役の国税職員だった上に、脱税の疑いまで浮上しているのだ。いま国税の場で何が起きているのか?※本稿は、大村大次郎『本当は怖い税金の話 元国税調査官が書いた 知らないと損する裏知識』(清談社Publico)の一部を抜粋・編集したものです。
2億円稼いだ転売ヤーは
税務署の中の人だった
2024年4月、驚愕のニュースが報じられました。
福島県内の20代の税務署員が、2022年の8月から現在までの間に、副業で2億円も稼ぎ、停職1ヵ月の処分を受けていたことが発覚したのです。
なんの副業で2億円も稼いでいたかというと、中古車の転売です。2022年ごろから、半導体の不足などの影響で、自動車の生産が追いつかず、中古車の価格が高騰していたのです。
そこに目をつけ、中古車を仕入れては転売するという方法で、莫大な稼ぎを得ていたのです。
公務員というのは、副業が全面的に禁止されているわけではなく、届け出をして許可を受ければOKということになっています。この20代の税務署員は、許可を受けていなかったとのことです。
そのため、「無許可で副業をした」ということで、停職1ヵ月の処分を受けたわけです。
国税側の発表によると、今回の副業は、もし届け出をしたとしても許可はされなかったということです。公務員の副業が許可されるには、それなりの理由と、公務員としての信用が失墜しない内容が求められます。