スタートアップが成功できるか、失敗して消えてしまうか? それを決めるのは、Product Market Fit(PMF:プロダクト・マーケット・フィット/市場で顧客に愛される製品・サービスを作ること)を達成できるかどうかにかかっている。『増補改訂版 起業の科学 スタートアップサイエンスVer.2』(田所雅之著、ダイヤモンド社)は、起業家の8割が読み、5割が実践する起業本のベストセラー『起業の科学』を9年ぶりに大改訂した最新版。本連載では同書から抜粋して、スタートアップの成長を加速するポイントについて、わかりやすくお伝えしていきます。
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Teslaの「引き算」のアプローチ
イノベーションは既存プロダクトの複雑さをそぎ落とし、本質的な価値に集中することから生まれる。
Teslaは、「引き算」のアプローチで自動車業界に革命をもたらした。
Teslaは、従来のEVが抱えていた「充電時間が長い」「航続距離が短い」「価格が高い」「安全性が心配」といった根本的課題に対し、その一つひとつを着実に解決していった。
従来の自動車メーカーが行ってきた「既存のガソリン車にEV機能を付け足す」という足し算的アプローチとは対照的だった。
Teslaは最初からEVのために設計された車両を作り、不要な複雑さを排除することで、シンプルかつ優れた製品を実現。
業界全体を破壊したTesla
業界の巨人たちはTeslaの脅威を過小評価していた。
BMW開発担当の役員であるクラウス・フリューリヒ氏は、「BEV(バッテリー電気自動車)に対する顧客の要求はない。大きなオファーやインセンティブがあれば欧州で100万台売ることもできるが、欧州人はそんなものを買わない」と述べていた。
ところが現実は異なった。
Teslaの「モデル3」は、EV市場の枠を打ち壊して爆発的に売れ、2020年の全米セダン売上では第4位にランクインした。
従来の自動車業界が「足し算」の発想で競争していた中、Teslaは「引き算」の発想で本質的価値を追求し、結果として業界全体をディスラプト(破壊)することに成功した。
(本稿は『増補改訂版 起業の科学 スタートアップサイエンスVer.2』の一部を抜粋・編集したものです)
株式会社ユニコーンファーム 代表取締役CEO
1978年生まれ。大学を卒業後、外資系のコンサルティングファームに入社し、経営戦略コンサルティングなどに従事。独立後は、日本で企業向け研修会社と経営コンサルティング会社、エドテック(教育技術)のスタートアップの3社、米国でECプラットフォームのスタートアップを起業し、シリコンバレーで活動した。
日本に帰国後、米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルのベンチャーパートナーを務めた。また、欧州最大級のスタートアップイベントのアジア版、Pioneers Asiaなどで、スライド資料やプレゼンなどを基に世界各地のスタートアップ約1500社の評価を行ってきた。これまで日本とシリコンバレーのスタートアップ数十社の戦略アドバイザーやボードメンバーを務めてきた。
2017年、新たにスタートアップの支援会社ユニコーンファームを設立、代表取締役社長に就任。その経験を生かして作成したスライド集『スタートアップサイエンス2017』は全世界で約5万回シェアという大きな反響を呼んだ。
主な著書に『起業の科学』『入門 起業の科学』(以上、日経BP)、『起業大全』『「起業参謀」の戦略書』(ダイヤモンド社)など。




