修業には今も
確かな価値がある
では、結論はどうなるのでしょうか。
『最強の寿司ビジネス』(ながさき一生、中央公論新社)
やはり、寿司スクールによって心技体のうち「技」は身につくかもしれないが、「心」まで含めた職人としてのあり方を身につけるのは、簡単ではない、ということになるでしょう。人との関係性の中で育まれる感覚や覚悟は、短期間では得がたいものです。その意味で、修業には今も確かな価値があります。
ただし、すべての寿司ビジネスが、従来型の修業を前提にする必要があるわけではありません。例えば、職人が圧倒的に不足している国や地域。技術料ではなく、素材にコストをかける業態。それらでは特に、寿司スクール出身者が活躍するフィールドは広がっているといえるでしょう。
重要なのは、「修業か、スクールか」という二者択一ではない、ということです。どんな寿司を、どんなお客に、どんな形で提供したいのか。その寿司ビジネスの姿によって、人材育成のあり方も変わるのです。
寿司職人は2カ月で育つのか。その答えは一つではありません。しかし、寿司が人の手と関係性によって紡がれてきた食文化である以上、修業が果たしてきた役割は、これからも簡単には代替できないといえるでしょう。







