たとえば、海外に旅行に行くと、日本では考えられないようなリスクに遭遇することがあります。人間としての危険に対する感度、いわば「野生の勘」のようなものは生活の中で体験的に育むことでしかもてないのではないかと思うのです。

料理は成功と失敗を
同時に体験できる貴重な場

 自己効力感とは、自分には目標を成し遂げる力があると、自分自身を信じる力のことです。

「カレーを作ろう」と思ってそれを達成する、掃除をして家族に感謝される、そういった家事を通じて、自己効力感を高めていくことができます。

 『お手伝いで自分から楽しく学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』書影お手伝いで自分から楽しく学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』(岩田かおり、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 また、家事は失敗の連続です。日々の料理でも思い通りにいかないことはたくさんありますよね?

 たとえば、わが家は子どもが電子レンジでお餅を温めていて爆発させたことがありました。トースターの加熱時間を電子レンジにも適用し、加熱しすぎて爆発し、お餅がラップに張り付いた状態で出てきました(笑)。それでも、私は「剥がしたら食べられるかな」と言いながら、食べたような記憶があります。

 そんな失敗をしても家庭の中であれば、大したことはありません。失敗を繰り返して、「まあ、いいか」と思える範囲が広がっていく中で、自分自身をまるっと愛する力がつきます。

 もちろん、学習や部活動、習い事などでも成功体験を積むことはできます。しかし、もっと身近で、もっと気軽に、家の中で成功体験や失敗体験ができるはずです。

家族のことを思うので
思いやりが育まれる

 家事は自分のためだけではなく、家族が助かったり喜んだりするから「頑張ろう」と思えることでもあります。

 勉強やスポーツなどでも、たくさんの力を身につけることができます。しかし、その頑張りのほとんどが「自分のため」です。一番身近な家族を思いながら体験を積める家事は、思いやりを育む貴重な機会だといえます。

 社会に出ていけば、必ず誰かと一緒に生きていくことになります。学校で行事の準備をする際に何もかも自分本位で進めていては誰もついてこないでしょう。ビジネスをする際も、1人では何もできません。

 家事を通して、社会で必要とされる思いやりが培えるのです。