一方、「投資」の意向が落ち着くのは、非常に明確な理由に基づいています。老後の生活を前に、「一度損失を出した場合、その回復を待つ時間が短い」という現実を、冷静に見極めているからです。そのため、ハイリスクな「攻め」から、資産を減らさないための「守り」へと切り替えるのは、未来を見据えた無理のない判断です。多額の資産を動かすよりも、安定した生活を優先する、この世代ならではの賢い自己防衛といえるでしょう。

タイプ3:山型タイプ
60代は“体験消費”のピーク

 先ほど見た「右肩上がり」や「右肩下がり」の消費意向は、年齢による自然な変化としてある程度想像がつきます。しかし、この「山型タイプ」は、50代と70代に対し、60代だけが突出してスコアが高くなるという、極めて興味深い発見を含んでいます。これは、令和シニアが「時間」と「お金」というリソースを、最も集中的に、そして能動的に投入したい領域を示しているといえます。

 このタイプに含まれる「お酒」「エンタメ」「外食」は、単なる日々の消費ではなく、60代が「自分」と「仲間」のために集中してリソースを投下していることの明確な証拠です。

 令和シニアは「なるべく安いものを選ぶ」傾向が50代より低い一方で、「何を買うにしても自分のこだわりがある」傾向が非常に強い世代です。その「こだわり」が、この山型タイプのカテゴリに表れています。

 この消費意向が60代でピークになる背景は、彼らが「豊富な可処分時間」「安定した資金」、そして「活動的な体力」という三要素が揃った、人生の黄金期にあるからです。

 70代も時間と資金は豊富ですが、新しい体験や社交を求める「行動力」と「意欲」は、一般的に定年退職が起きる60代が最も高いのです。実際「いつまでも現役であり続けたい」という項目では、70代の40.8%に対し60代は54.4%と13ポイント以上も高く、また「これからの人生でやりたいことがたくさんある」というスコアも70代より高いことが判明しています。この強い未来志向と活動意欲を具体的に支えるのが、山型タイプの消費です。