SMAPのメンバーは
音楽的素養がないのが逆にいい
ある日、馬飼野康二さんの家で集まったときに、ビクターの野澤(孝智ディレクター)が「曲をつくっても、玄人の音楽ファンが盛り上がるだけで、誰も評価してくれない」とこぼしたことがあります。
それで僕は言ったんです。
「野澤、違うよ。俺たちは大好きなミュージシャンをたくさん集めて、めちゃくちゃやらせてもらったんだから、感謝しかないんだよ。遊んでるだけなのに、誰も評価するわけないだろ。なにふざけたこと言ってんの?勘違いすんなよ。ほかの事務所じゃありえない金額を使わせてもらってるんだぞ」。
それを聞いていた馬飼野さんがニコニコしながら「いやぁ、鎌田くんみたいには、みんななかなか思えないよ」と言っていました。さらに野澤が「SMAPのメンバーも、今は俺たちのことボロクソに言ってるけど、20年とか30年経ったら“あの人たち、すごいことをやってたんだな”と思うんだろうな」と言うから、僕は「思わないよ」と言いました。
だって彼らには音楽の素養がないんですから、演奏のすごさなんてわかるわけがない。カラオケで歌っているのと同じです。「100歳になっても俺たちに感謝なんてしないから覚えとけ」と言ったら、ひどくショックを受けていました(笑)。
みんな、「誰かに評価されたい」という考えをやめたほうがいいですよ。むしろ「好き放題やらせてもらってすみません。ありがとうございます」と土下座しなきゃいけないくらいで、好きなことをやって評価されようなんて、おこがましいにもほどがある。
稲作を最初に始めたとか、ダムや線路をつくったとかなら話は別だけど、そもそも僕らがやっているのは、そんな仕事じゃないんです。だから僕は、中国で国民的な歌手と仕事したときも、ただただ感謝していました。たとえ、めちゃくちゃ面倒くさい相手でも同じ。そうしてきた結果、普通なら会えないような人たちに会うことができたんです。
SMAPのメンバーには音楽の素養がない、曲や演奏のよさがわかっていないと言いましたが、彼らの場合はそれが逆によかったんです。豪華ミュージシャンが集まったありがたみをまったく理解せず、ふにゃふにゃ歌うからいい。
曲の意味もわからず歌うから
独特のかっこよさが生まれる
小田和正さんからあるとき「会いたい」と連絡をもらったことがありました。それは小田さんが「SMAP×SMAP」に出て「夜空ノムコウ」を歌ったときに、「君たち、この歌の意味わかってる?」とメンバーに聞いたら、シーンとしたからなんですって(笑)。
「最高だね、SMAP。なにもわかってないんでしょ」と言っていました。
『ヒットのつくり方』(鎌田俊哉、アチーブメント出版)
僕は小田さんにも同じように「彼らは100歳になってもわかりませんから」と答えました。自分たちの曲がかっこいいとまったく思ってなくて、小室哲哉さんのほうがいいと思ってる。別にどっちが優れているかという話じゃなくて、価値観の違いです。「すごいミュージシャン?へー」みたいな、どこ吹く風の雰囲気が彼らのかっこよさを生んでいたんです。
SMAPが「ミュージックステーション」に出たときに、あるアーティストが「プリンスと1年がかりでアルバムをつくって、すごくお金がかかった」という話をしました。タモリさんが「SMAPはどうなの?」と中居に振ったら、「俺たち、2週間ぐらいでアルバムができちゃって。もしかしたら俺、歌ってないかもしれない」「知らないうちにできてた」と言ったんですよ。
翌日、いろんな関係者から連絡が来て「鎌田、SMAP最高だな」「ロックしてるよ」「あれで1位獲っちゃってるんだから」と絶賛されました(笑)。







