さて今回、注目したいのは「銀丸弐号」が乗り入れた「新橋駅幻のホーム」だ。実は幻のホームが一般公開されたのは2016年以来、10年ぶりのことだ。長らくご無沙汰だったのは、2016年8月に新橋駅改良工事が始まり、工事ヤードとして使用することになったからだ。

 しかし、工事が終わった気配はない。駅の様子もそのままだ。工期は何度も延期されている。にもかかわらず、幻のホームは10年ぶりに公開された。新橋駅は今、どうなっているのだろうか。

新橋駅(建築土木工事画報 1939年3月号)現役時代の幻のホーム(建築土木工事画報 1939年3月号)

プレハブ小屋を設置し
会議室として使用

 まずは幻のホームについて説明しておこう。銀座線には二つのルーツがある。浅草~新橋間は「地下鉄の父」こと早川徳次が率いる東京地下鉄道、新橋~渋谷間は東急グループの創始者・五島慶太が率いる東京高速鉄道だ。両路線は1939年9月に直通運転を開始し、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)の発足以降はひとつの路線となった。

 今の渋谷方面ホームは東京地下鉄道が1934年に開業したものだ(浅草方面ホームは1980年に増設)。幻のホームは東京高速鉄道が建設し、1939年1月から9月までの8カ月間だけ使用した。今のホームは地下2階、幻のホームは地下1階にある。この位置関係が重要なので覚えておいてほしい。

新橋駅断面図新橋駅断面図 拡大画像表示

 両社は1930年代後半、地下鉄整備の主導権を巡り激しく対立した。わずかな期間しか使用されなかったことから、幻のホームは両社の対立に起因して東京高速鉄道がやむなく設置した仮ホームであると語られがちだが、両社合意のもと設置された正式な設備である。