その中で、銀座駅以外では唯一、単独テーマで行われたのが「幻のホーム活用アイデア部門」のコンペだ。入選以上の作品は東京メトロのウェブサイトで公開されているが、図書室、神社の建立、地下公園など、鉄道業界の内側からは出てこないアイデアが並んでいて新鮮だ。
最優秀賞を獲得したのは、株式会社アトリエ・ジーアンドビーの大久保良太、洞内みな子、相本圭太の三氏による「メトロゴ 幻のホームにあるメトロロゴショップ」だ。要約してはニュアンスが伝わらない可能性があるので、以下に説明文を引用する。
新橋駅コンペ最優秀賞「メトロゴ 幻のホームにあるメトロロゴショップ」
これまで限られた機会でしか見られなかった幻のホームが常時一般公開されれば、注目を集めるだろう。にぎわい施設という方向性も今どきなのかもしれない。だが、そのあり方には疑問が残る。
歴史的遺産という観点から見ると、東京高速鉄道が建設したホームに東京地下鉄道の1000系を置くことには違和感がある。また、新橋といえば煉瓦というイメージがあるが、それは明治初期の「赤レンガ通り」や明治末の東海道本線「煉瓦アーチ高架橋」に由来するものだ。幻のホームが開業した1930年代は、すでにコンクリート建築が主流となった昭和モダンの時代である。
他駅では最優秀賞のアイデアをほぼ忠実に再現しているので、コロナ禍がなければ幻のホームは、このように改装された可能性が高い。優秀賞、入選のアイデアを見ても、歴史的な文脈をふまえたものが見当たらないのは残念である。
新橋駅周辺再開発の完成は2030年代半ば以降にずれ込む見込みであり、改良工事・改装計画の再始動も2030年以降になるだろう。こうなれば急ぐ理由もない。元々は2027年の地下鉄開通100周年を見据えたプロジェクトだったが、2039年の幻のホーム開業100周年に向けて、その保存と活用のあり方を見直してみてはどうだろうか。







