東京高速鉄道は、後の丸ノ内線に相当する赤坂見附~新宿間の支線を構想しており、幻のホームは開業後に増加する列車の一部を折り返し運転するために使うつもりだった。工事の遅れで東京地下鉄道との直通運転開始が遅れたため、前述の通り、8カ月間だけ有効活用したというわけだ。
結局、新宿方面は独立した路線(丸ノ内線)として建設することになり、幻のホームの出番は巡ってこなかった。ただし、鉄道施設としては今も現役で、線路は列車を収容する留置線、ホームにはプレハブ小屋を設置して会議室として使用している。
コロナ禍で狂った
新橋駅改良計画
続いて、新橋駅改良工事について説明しよう。新橋駅は1日あたりの乗降客数が20万人を超える、メトロ有数の混雑駅である。改良工事が検討された2010年代前半、駅周辺再開発の進展などで新橋駅の利用者は増加傾向にあり、2016年に上野東京ラインの開業も控えていた。
東京地下鉄改良建設部設計課「推奨土木遺産である銀座線新橋駅の改良計画」『土木学会第70回年次学術講演会』より抜粋 拡大画像表示
銀座線新橋駅の利用客の流れはJR東海道線、都営地下鉄浅草線に近い「JR口」に集中しているため、乗客がさらに増加すれば処理能力を超える恐れがあった。そこで、渋谷方面行きホームを渋谷方に延伸し、停車位置も前方にずらすことで、渋谷方面改札の利用者を別の改札口に分散させることを狙った。
ただ、工事のために公開を中止したとはいえ、幻のホームが取り壊されるわけではない。幻のホームはホーム延伸部の上部に位置するが、直上ではなく隣接している。この位置関係から幻のホームを工事ヤードとして使用することになったため、留置線としての使用を中止し、公開も取りやめていたのである。
ところが目算が狂いだす。2010年度に21.6万人だった乗降客数は、2016年度に24.7万人、2017年度に25.2万人と予想を上回るペースで増加したが、その後のコロナ禍で状況は一変した。2024年度の乗降客数は20.4万人となり、検討前の水準に戻ってしまった。







