JR東日本の無線通信式のウォークスルー改札JR東日本の無線通信式のウォークスルー改札。見た目は通常の改札機と変わらない(筆者撮影)

鉄道の利用スタイルを根底から変えたSuicaも今年で誕生から四半世紀だ。自動改札機の登場以前、鉄道利用者は駅員に切符を手渡して切ってもらい、定期券は見せて改札を通過していた。ICカード導入の目標のひとつは、定期入れから取り出す必要のあった磁気券をかつてのように使いやすくすることだった。都市部ではICカード利用率が90%以上となり、ICカード対応エリアは地方にも広がっているが、早くもというべきか、ようやくというべきか、次世代の「きっぷをかざさない鉄道利用スタイル」の輪郭が徐々に見え始めてきた。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

JR東日本が開発した
“素通りできる”改札

 次世代改札は「タッチレス改札」または「ウォークスルー改札」と呼ばれることが多い。文字通り、ICカードをタッチすることなく、そのまま歩いて通過できる改札機だ。以前は「ゲートレス改札」の呼び方もあったが、ゲート(扉)がないことは本質ではないからか、使用頻度が減っている印象だ。認証方式は顔認証と、スマホを用いた無線通信が有力とされている。

 既に大阪メトロは大阪・関西万博を控えた昨年3月25日、全134駅中130駅に顔認証改札機を設置し、本運用を開始した。その他、JR東日本、JR西日本が顔認証式、東京メトロが無線通信式の実証実験を行っている。

 そんな中、JR東日本が満を持して送り出してきたのが、無線通信式のウォークスルー改札だ。高輪ゲートウェイシティにて5月13日・14日に開催された「GATEWAY Tech TAKANAWA 2026」にてデモ機が展示され、筆者も実際に試してみる機会を得た。

 まずはJR東日本の経営戦略におけるウォークスルー改札の位置づけから確認しておこう。同社は会社発足当初、磁気式自動改札機の本格導入前からICカード乗車券を開発していただけに、タッチレス改札の開発もSuicaを実用化してすぐに始まった(そもそもSuica自体がタッチアンドゴーではなく、もっとウォークスルーな利用形態を目指していた)。