『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社
児童精神科医による大ヒット書籍のコミカライズ版として、くらげバンチ(新潮社)で連載されている『ケーキの切れない非行少年たち』(原作/宮口幸治、漫画/鈴木マサカズ)。今回は、第24話『手塚陽翔に対する特別な配慮』から、原作の立命館大学教授で児童精神科医の宮口幸治氏が漫画に描けなかったエピソードを紹介する。
「虐待家庭」とは限らない…
少年院に入る子どもの親の現実
非行や犯罪を起こして少年院に入る子どもの親は、どのような人たちなのでしょうか。多くの人は、「きっと虐待をしてきた親なのだろう」「親自身も犯罪歴があるのではないか」と想像するかもしれません。
確かに、そのようなケースがまったくないわけではありません。しかし、著者がこれまで出会ってきた保護者の多くは、特別な問題を抱えた人ではなく、ごく普通の家庭の親たちでした。
そして多くの保護者は、「これまで一生懸命育ててきたのに、なぜ子どもが非行に走ってしまったのか分からない」と嘆き、深く苦しんでいました。
本話では、万引きを何度も繰り返してしまう息子・手塚陽翔(仮名)と、そのことで悩み続ける母・手塚真理恵(仮名)の姿を通して、非行少年を持つ保護者について描いています。
物語は、陽翔が中学生のうちに少年院を出院することが決まり、新しく通うことになる中学校の担任教師から六麦に相談の連絡が入る場面から始まります。
中学生が少年院に入る場合、義務教育の年齢であるため、少年院の中でも授業が行われます。授業は教員免許を持つ法務教官や、定年退職した元学校教員などが担当しています。
少年院を出た後は、元の中学校に戻る場合もあれば、環境を変えるために別の学校へ転校する場合もありますが、いずれにしても中学校を卒業するまでは義務教育を受けることになります。
陽翔は出院後、新しい中学校へ通うことが決まりました。しかし母の真理恵は、学校側に対して特別な配慮をしてほしいと強く求めます。学校としては、その要望の意図がよく分からず、どのように対応すればよいのか困り、六麦に相談してきたのでした。
陽翔は「もう二度と万引きはしない」と言いながらも、何度も同じ行為を繰り返し、最終的に少年院送致となりました。母の真理恵は、どうして息子がそんな行動を続けてしまうのか理解できず、苦しんでいました。
そんな中、少年院で行われた入院時の保護者説明会で、教官から「陽翔には軽度の知的障害がある可能性がある」と伝えられます。これまで小学校や中学校でそのような指摘を受けたことはなく、真理恵にとっては突然の告知でした。
しかも「知的障害」という言葉を聞いたことで、真理恵は大きな衝撃を受け、激しく動揺してしまうのでした。
原作者である宮口幸治は、児童精神科医として、実際に医療少年院の勤務歴があります。その経験から書いた『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)をマンガ化した作品。マンガの続きは「ケーキの切れない非行少年たち」でチェック!
『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社
『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社







