8月の前半には「東北三大祭り」があり、東北地方にお出かけになる方も多いのではないでしょうか? せっかく旅にでたのなら、今、世界から注目を集める日本の地方のガストロノミーを巡るチャンスです。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、今回は秋田県の注目エリアや店を紹介していきます。

【食通が遠征】「きりたんぽだけ」は大間違い、秋田ガストロノミーの底力Photo: Adobe Stock

ハイエンドな名店と郷土料理の名店が混在

 秋田市の川反(かわばた)は、花街として発展し、昭和期には東北一の歓楽街とも呼ばれたところです。
 今も飲食店が立ち並びますが、フーディーに人気なのが「日本料理たかむら」です。秋田にありながら「江戸料理」を標榜。というのも店主の高村宏樹さんは目白の江戸料理「太古八」で修業し、唯一暖簾分けを許された方。私は太古八の料理もよく知っているだけに、江戸前料理を出身地の秋田の食材で表現するチャレンジには脱帽します。紹介制なのが残念ですが、紹介者を探し当てでも行く価値のある店だと思います。

 盛岡に住む友人は「岩手より、秋田のほうが美味しい」が口癖で、四季折々の食材を楽しむために「秋田てんぷら みかわ」まで遠征しています。主人の北嶋大地さんは東京・門前仲町の「みかわ 是山居」から暖簾分けを許され開店。たかむらと同じように、東京で修業した腕前を地元食材で活かしています

 イタリア料理「fエッフェ」も、私の周囲の食いしん坊が絶賛する注目店です。

 また、川反はトラディショナルバーの名店があることでも知られます。
 特に帝国ホテルで修業した先代が開いた「BAR ル・ヴェール」はわざわざ行く価値があります。店内に飾られた、数多くのバーの切り絵で知られる故・成田一徹さんの作品もぜひご覧ください。

 秋田のガストロノミーの面白いところは、こうしたハイエンドの店と同時に秋田の伝統的な食文化を表現する名店も多いこと
 たとえば「酒盃(しゅはい)」は古民家を改装した郷土料理居酒屋で、比内地鶏やじゅんさい、ハタハタなど、秋田の食材を使った郷土料理を地酒とともに味わうには最適です。

 また、秋田駅前の「秋田長屋酒場」は入口のなまはげが出迎えてくれる秋田料理店。なまはげのステージもあるので観光居酒屋のように思えますが、料理は美味しく、きりたんぽ鍋、しょっつる鍋、石焼鍋と秋田の美味がここ一軒で味わえます

 はす向かいにある「すし兆」はわずか4席しかない寿司屋。予約があると市場で極上の魚をそろえて待っていてくれるため、私が秋田に行くと寄る店のひとつになっています。

 男鹿半島はなまはげで有名ですが、クラフトサケ醸造所「稲とアガベ」があることで近年、インバウンドやフーディーたちから注目されています。創業者の岡住修兵さんは清酒免許の規制により「その他の醸造酒」免許を活用。日本酒ともワインとも違う新しい酒を多数、世に出し、発酵文化の未来を切り拓く革命児として注目されています。

※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。この記事の情報は、本書の発売時のものになります。