地球の反対側の人たちや、はるか昔の人たちを比較対象にするまでもない。住んでいる町の反対側へ行くだけでいい。あるいはオフィスや近所の人たちを見渡せばいい。ほぼ間違いなく、自分よりもっと大変な問題を抱えた人たちが見つかるはずだ。

 大変なのはあなただけではない。みんな、そうなのだ。

 他人に見えるのは人生の上澄みにしかすぎない。一方、自分の人生を見るとき、私たちは裏側にばかり目を向ける。

「それが問題を解決する何の助けになるの?」と思った人もいるだろう。まあ、確かに助けにはならない。そんなことを言ったところで、車のタイヤが新品に換わるわけじゃないし、銀行口座の預金が一気に増えるわけでもない。

 それでもここで、貴重な人生のほんのひとときでいいから、自分の人生の暗い面を見つめるのはやめて、まわりを見渡してほしい。感情でびしょ濡れになったナラティブなセルフトークではなく、現実や自分の本当の人生とつながろう。

 そうすると、現実ベースの視点で物事をとらえられる。力強い姿勢で人生と問題の数々に向き合い、すきあらばあなたにとりつこうとしてくるネガティブさという名の亡霊を追い払える。

 まわりのみんなが自分の問題(場合によってはあなたのものよりもはるかにひどい問題)に対処できているなら、あなたにだってできないはずはない。

 こんなことを言いながらも、私もわかっている。本当にひどい出来事が起こったら、落ち着いてなんかいられない。見方を変えたからといって、問題は依然として残っているし、つらいし、ネガティブな感情が自分の明るさを奪っていく。

人生を振り返るだけで
自然とポジティブな感情になれる

 そういうひどい気分を味わったときは、一歩下がるといい。一歩と言わずもっと下がってもいい。いや、もっとずっと下がって、下がって下がって……人生の全体像をありのままの姿で見つめられる場所まで下がってみたらいい。そしてその場所から、想像力を働かせよう。

 私はクライアントに、まず人生全体を見つめるように言う。視界の端から端まで、人生という名の線路が左から右へ伸びている光景を想像するのだ。

 もちろん、線路は何もない空間に伸びているわけじゃない。背景には田園もあれば町もあり、トンネルも、橋も、どこまでも広がる海も、そびえ立つ山々も、深い峡谷もある。