名古屋通関業会が24年に行ったアンケートで、通関業務料金の値上げの必要性を聞いたところ、「必要」とする事業者は96%に達した。理由としては人件費の上昇、作業生産性の悪化、働き方改革に伴うコスト増加など。一方、「値上げが認められた荷主はほとんどない」との回答は72%にのぼっていた。

価格改定は大手が先行
中小は様子見も

 こうしたなかで、昨年末にNIPPON EXPRESSホールディングス傘下の日本通運が26年1月1日から、通関業務について平均約25%の増額改定を行うと発表。料金改定の理由について「事業環境の変化に伴うコスト増は、自助努力のみでは吸収が困難な水準であり、安定的かつ良質なサービスの提供を継続するため」とした。

日本通運、阪急阪神EX、三菱倉庫も...「20~25%値上げ」が相次ぐ物流コストとは?政府方針が後押し主な物流会社の通関業務料金改定 画像:カーゴニュース
拡大画像表示

 その後も大手を中心に、通関業務料金の値上げが発表されている。主な企業としては、阪急阪神エクスプレス、上組、大東港運、日新運輸工業、二葉、ナカムラロジスティクス、三菱倉庫などが価格改定を発表。通関業者からは、「認めてもらえるかはともかく、値上げをお願いするタイミングとしては今しかない」との声が聞かれる。

 背景にあるのは、3月31日に閣議決定された新たな総合物流施策大綱だ。「労務費等のコストを通関業務料金へ適切に転嫁していくことの必要性を広く周知していく」「通関業者の適正な業務運営を確保するための環境整備に向けた取組を推進する」との記載が盛り込まれ、価格転嫁について国の“お墨付き”を得た。

 日本通関業連合会でも、「通関業務の経営環境の改善に向けた活動に関する目安箱」を会員向けに開設。荷主との価格交渉や、関税等の立替払いの解消に困難を感じている会員からの情報を収集し、財務省関税局や公正取引委員会と情報共有していく新たなスキームの運用を6月から開始した。

 なお、通関業務料金の値上げについて、中小の通関業者はまだ様子見のところも多い。「一見さんの荷主に対しては値上げをお願いしやすいが、既存の荷主は取引が長ければ長いほど、また、取扱量が多ければ多いほど値上げが難しい」との声も聞かれる。また、「ようやく旧上限額の満額がとれるようになった程度」など価格交渉に苦戦している様子もうかがえる。

物流の専門紙 カーゴニュース https://cargo-news.online/ 「オンライン版」もスタートしました!