2.「3つの領域」を区別する

 バイロン・ケイティの考えの中でもきわめて重要であり、役立つのが、「3つの領域」です。ケイティによれば、世界には3種類の領域しかありません。「私の領域」、「あなた(第三者)の領域」、そして「神の領域」です。

 たとえば、友人がよく遅刻するとしましょう。遅刻すること自体は、「その人の領域」です。そして友人がよく遅刻してくることに私が怒りを感じるとしたら、それは「私の領域」です。彼が変わることによって自分の怒りがおさまることを期待するのではなく、自分自身の問題として取り組む必要があります。

 そして天気や自然災害などは、「神の領域」です。ケイティにとって「神」という言葉は、現実を意味します。現実こそが世界を支配しているという意味で、神なのです。自分や誰かがどうにかすることはできない領域です。

 ですから、「あなたは怒るべきではない」、「私はあなたに幸せになってほしい」、「あなたは遅刻すべきではない」と考える時に、私は「あなたの領域」に入り込むことになります。「地震が起こってほしくない」、「彼は(病気で)こんなに早く死ぬべきではない」というように、自然災害や死などについてストレスを感じている時は、「神の領域」に入っています。

 ストレスの大半は、頭の中で「自分の領域」から離れ、「誰かの領域」、あるいは「神の領域」に入り込むことによって起きるのです。