世界中で数百万人が実践し、大きな反響を呼んでいる「ワーク」。4つの質問と「置き換え」というシンプルなステップでありながら、短時間でも往々にして劇的といえるほどの深い気づきと具体的変化をもたらすことができる。この「ワーク」を開発したバイロン・ケイティの新著の訳者による連載3回目では、人間関係が楽になる効果的な考え方について紹介する。

よい人間関係を築くために

 人間関係は、最大のストレス源であると同時に、最大の癒しの源とも言えます。また、仕事上の問題の大半は、人間関係の問題であるとも言われます。ワークの考え方や方法を使うことにより、ストレスや苦しみから解放され、相手に対してクリアに関わることができるようになります。

 バイロン・ケイティの新著『新しい自分に目覚める4つの質問』は、小手先ではなく、本当の意味で人間関係をよくするための知恵の言葉で満ちていますが、その中のいくつかの考え方をご紹介しましょう。

1.相手のことは変えることができない。
2.「3つの領域」を区別する。
3.ストーリーを超えて、相手と関わる。
4.自分以外に自分を傷つけることはできない。
5.自分を被害者にしない。
6.相手にしてほしいことを自分に置き換える。

1.相手のことは変えることができない

 コミュニケーションの原則として、相手を変えることはできず、変えることができるのは自分だけというものがあります。ワークにおいても、「人間関係をよくするために必要なのは、あなただけ」であると考えます。

 相手についての自分のビリーフ(信じている考え)に取り組むことにより、それまで自分が見えていなかった現実や新しい可能性が見えてきます。相手はするべきことをするのであり、それを止めることはできません。相手は、私たちにさまざまな感情的反応を起こさせます。相手の問題だと感じることを通じて、逆に自分の課題を理解でき、とらわれから解放され、成長することができます。