学生時代の就職活動の時点では、どういう会社が良い会社か、情報も判断基準も乏しかった人が多いだろう(もちろん筆者もそうだ)。この点、社会人をある程度の年数経験してきた今なら、自分にとって本当に大事なものは何かが明確になっているだろうし、新卒採用市場で蔓延っているような安易なセールストークに騙されにくくなっているはずだ。
また、個別の企業の労働環境や社内の雰囲気に関する口コミ情報も以前に比べてかなり増えており、個々の会社の実態に迫りやすくなっている。大っぴらに転職活動をすると「今の勤務先にバレるかもしれない」などと不安になるかもしれないが、転職市場が活性化しており、従業員の相応割合が密かに転職活動をしているという現実は、企業人事が最も正確に認識している。臆せず「転職活動」に積極的に取り組むべきだ(一方、「実際に転職する」かどうかは、オファーされた条件等を精査して慎重に冷静に検討したほうがよい)。
『働く人が減っていく国でこれから起きること』(河田皓史、朝日新書)
話が少々脱線したが、客観的にみて「会社がおかしい」と思われる場合に「会社を辞めたい」と思うのは当たり前のことである。また、そうしたおかしな会社は淘汰されたほうがよいので、従業員はどんどん辞めてその会社の存続を不可能にすることが社会的にも望ましい。
ただし、客観的にみて「会社がおかしい」わけではない(けれども会社に対して前向きになれない)場合――例えば、日本企業全体にある程度共通する文化(年功序列、根回し文化、同調圧力、終わりなきジョブローテーション、飲みニケーション、など)に違和感がある場合――には、転職しても状況が改善する可能性は必ずしも高くないため、FIREまたは独立・起業が有力な選択肢として浮上する。(筆者も含めて)多くの人は独立・起業して成功できるイメージが持てないので、消去法的にFIREを選んでいるというところではないだろうか。







