成長したいなら
恥をかくしかない

 ただ、人は恥をかくことを避けてばかりいると、成長が妨げられてしまう。わかりやすい例が語学だ。

 英語をしゃべれるようになりたいと思っている人は多い。TOEIC受験のために毎日何時間もリスニングのトレーニングに励んでいる人もいる。

 継続することは大事だと思う。でも語学力は結局のところ、人と会話しなければ身につかない。とうぜん実際に英語で会話をすればミスを重ねるだろう。現在形と過去形を混同したり、冠詞の使い方を間違ったり。そんな小さなミスをうじうじ気にして黙り込んでしまうようではダメだ。

 言語学習とはおもしろいもので、間違える回数が多ければ多いほど早く上達する。恥ずかしい思いをしたぶんだけ、脳に学習データがアップデートされていくのだろう。

 これは言語学習にかぎらない。スポーツも同じだろう。

 上手い人ほど、いちいち頭で理解するような真似はしない。勝手に体が動くのだ。かたや、下手な人はフォームを意識しすぎるあまり動作のタイミングがズレる。「失敗したらどうしよう」と考えるあまり動きが硬くなってしまう。

 つまり、上達するにはミスを恐れてはいけないのだ。あれこれ考えるのではなく、恥をさらしながら体に覚えさせるしかない。

 恥を回避すれば、たしかに心は傷つかずに済むだろう。笑われることもなく、ノーダメージだ。

 でも、その代わり経験値が増えない。経験値が増えないと成長は遠のく。

 逆に、恥を引き受けるとどうなるのか。最初はキツい。心が削られることもある。でも、いつしか赤っ恥をかくことに心と体が慣れてくる。ミスをしても「あちゃー」と笑い飛ばせる。恥のダメージが薄まっていくわけだ。

 とうぜんそれは歓迎すべき状態だ。なにより恥の単価が下がると、他人のミスに対して寛容になれるのがいい。

 恥をかくことを警戒している人ほど、他人の恥にも反応しやすい。叩ける相手を見つけると安心する。