好業績のスモールビジネスは、自社の独自性やターゲットの違いを明確に認識して、“大企業にはできないことをしている”ということだろう。

 日本を代表するブランド「ソニー」の創業者・井深大は、創業時の東京通信工業(現:ソニーグループ)の設立趣意書の中に、次のように記している。

「経営規模としては、むしろ小なるを望み、大経営企業の大経営なるがために進み得ざる分野に、技術の進路と経営活動を期する」

『小さな会社を強くするマーケティング思考』書影小さな会社を強くするマーケティング思考』(岩崎邦彦、日経BP 日本経済新聞出版)

 小さな会社でいよう。規模を追求せず、大企業とは土俵を変えよう、ということだ。

 高度成長時代の訪れはソニーの創業後だった。井深大は、パナソニックホールディングス(旧:松下電器産業)の創業者、松下幸之助との対談でこう語っている。

「私のところなど、いまだ一度も大きくしようと考えたことはないですね。しかたなしに(笑い)大きくなっている」(立石泰則編『井深大とソニースピリッツ』日本経済新聞出版、1998年)

 ソニーの創業時とは違って、今は成熟の時代である。人口や消費支出の右肩上がりの増加は見込めない。

 今まさに、「規模を追求せず、大企業とは土俵を変えよう」という発想が求められているのではないだろうか。