この店では、手間とコストをかけて、ハンバーグを1つひとつ炭火で丁寧に焼き上げる。効率性を追求するなら、ガスや電気を利用するほうがはるかによい。炭火は、ガスや電気と異なり、火力や温度の調整が簡単ではない。一度にたくさん焼くことも難しい。極めて生産性は低い。
テーブルには呼び出しボタンがなく、店員が客席の顧客にこまめに声掛けを行う。注文もタブレット端末ではなく、対面で伝える。もちろん、ロボット配膳ではない。スタッフが笑顔で料理を運んでくれる。
まさに、生産性追求の“逆”を行っている。だからこそ、地域の人々に愛され、今では県外からも客が訪れる。手間を惜しまない“非効率”こそが、強いブランドの源泉になっている。
ブランドを強くする
非効率というやり方
観光で訪れた場所を思い返すと、心に残っているのはどんな店だろうか。
それはきっと、生産性を優先する大企業や全国チェーンの店ではなく、その土地ならではの空気や、人の温もりを感じられる店だったはずだ。
地域の伝統工芸も同様である。たとえば、南部鉄器や輪島塗などを思い浮かべてほしい。効率だけを追求するのであれば、大規模工場による大量生産品に置き換えるほうが合理的だろう。だが、小さな工房で長年培われた技術と、地域の歴史そのものが価値であり、それが地域の誇り・観光資源・輸出品にもなっている。
こうした価値は、生産性では測れないが、地域アイデンティティと観光・文化資源の基盤になっている。地域の個性やブランドを生み出してくれる企業の多くは、スモールビジネスである。
大手と土俵を変えた
企業ほど業績が好調
ここで、図1-3をみてほしい。このグラフからは、「大企業は脅威ではない」と回答する企業ほど、業績が良いことがわかる。
同書より転載 拡大画像表示







