フジMHDは電通をはじめとする同業仲間・取引先の安定株主を総動員し株主総会で北尾氏らの取締役選任を阻止しましたが、その後もダルトンは株式保有を続けています。
村上氏と娘である野村絢氏のファンドもこれに参戦、16%の株式を握った上で、放送法上限の33.3%まで買い増す意向表明を行いました。フジMHDは20年前と同様に防衛策を導入しますが、その対応をダルトンは7月のレターでこう揶揄しています。
《FMH(フジメディアHD)は認定放送持株会社ですので、放送法上1人の株主が保有する議決権割合は3分の1を超えることができません(放送法164条)。それにもかかわらず、何を慌てているのでしょうか。村上世彰氏が33.3%まで買い進めることを示唆したということですが、それだけで、多額の弁護士費用をかけて、15%の株主に対して買収防衛策を導入するなど、みっともない話です。(中略)
FMHの取締役会はこんなことに時間と労力と費用をかけずに、改革アクションプランの実行に注力すべきです。村上ファンドはFMHの不動産事業のスピンオフ(編集部注/子会社を切り離し、独立した新会社としてスタートさせる手法)を要求しているということですが、これは私たちが2024年から再三、FMHに要求していることです。FMHは、今回の買収防衛策導入の理由の中で、不動産事業のスピンオフが実施されるとFMHの株主共同の利益が毀損されるおそれがあるとしていますが、そんなことは全くありません。
村上ファンドに不動産事業のスピンオフを主導されることが嫌なのであれば、FMHが主導して不動産事業のスピンオフを実施すればよいだけのことです。そして、株主共同の利益のためには、不動産事業は今スピンオフすべきです。》
日本で相変わらず欠けている
一般投資家の利益保護の視点
その後の2025年12月、村上ファンドの33.3%を上限とするTOB趣旨説明書の公表を受け、フジMHDの株価は4000円近くまで上昇しました。両者は水面下で交渉し、翌年2月、1株3839円、総額2350億円の自社株買いに村上ファンドが応じ、持ち株を売却するとともに不動産事業スピンオフ提案取り下げに合意、この一件は「落着」します。この発表を受けて株価は3400円に下がりました。







