仮に、65歳からこの老後資金を切り崩し始めた場合、70代後半には預貯金が完全にゼロになってしまう計算です。
さらに、近年の物価上昇や将来的に発生する医療費や介護費、家の修繕費などを考慮すると、資金が尽きる時期はさらに早まるかもしれません。月25万円の生活費は決して贅沢な水準ではありませんが、節約だけでこのリスクを乗り切るには限界があるでしょう。
現金のまま置いておくだけでは老後の生活が破綻しかねない現実を直視したとき、資産を働かせる必要性に気づくはずです。では、果たして60代からの投資は本当に手遅れなのでしょうか。
60代からの投資は
「資産を増やして終わり」ではない
投資の必要性を感じても、実際に始めるとなるとためらってしまう人は少なくありません。
最大の理由は、「60代からでは運用期間が短く、失敗しても取り返せないのではないか」という不安でしょう。若い世代と比べれば、運用できる期間が限られているように感じるかもしれません。しかし、そこには大きな誤解があります。
多くの人は、「60歳で投資を始めたら70歳で終える」といったように、運用期間を区切って考えがちです。仮に、その時点で資産を全て現金化するのであれば、運用期間は10年にとどまります。
ですが、投資で重要なのは、一定の年齢に達したからといって運用を全て終わらせないことです。
資産が増えた段階で全額を引き出すのではなく、必要な分だけを生活費として取り崩し、残りは引き続き運用するという考え方を取り入れることで、投資期間は結果として20年、30年へと延びていきます。
つまり、老後の資産運用は、資産を増やして終わりではありません。目的は、資金寿命を延ばしながら資産を取り崩していくことです。この視点に立てば、60代からでも長期運用の恩恵を十分に受けることができます。
では実際に、60代から投資を始めた場合、資産はどのように推移するのでしょうか。具体的な数字を使ったシミュレーションで見ていきましょう。







