60代から約1000万円を運用したら
老後資金はどこまで増える?

 60歳の時点で1500万円の貯蓄がある人を例に考えてみます。まずは、生活費の1~2年分にあたる約420万円を、病気や急な出費に備える生活防衛資金として現金で確保します。その上で、残りの1080万円を運用に回します。

 つまり、約1000万円を投資に回すわけです。

 とはいえ、初心者が初期投資として1000万円以上を投資するのは精神的な負担が大きいかもしれません。その場合はNISAを活用し、年間投資予算360万円、つまり毎月30万円ずつ分けて積み立てる方法をおすすめします。

 市場の値動きによる影響を分散しながら投資を進められるため、仮に年利5%で運用できたら、この1080万円は3年後の63歳時点で資産は約1170万円まで増える計算です。ただし、ここで重要なのは、増えた資産を一度に引き出さないことです。

 運用を続けながら20年かけて取り崩していけば、年利5%を前提として毎月約7万6000円を受け取れます。

 63歳から年金を月15万円受け取る場合、運用による取り崩し額を合わせると毎月の収入は約22万6000円になります。生活費が月25万円だとすると、不足額は月2万4000円程度まで縮小します。

 冒頭で述べたように、投資をしなければ、1500万円の資産は約12年半で底をつく計算でした。しかし、運用を取り入れることで資産寿命を大幅に延ばすことができたのです。

 それでも、毎月2万4000円の赤字が残るのは不安だと感じる人もいるでしょう。実は、この不足分を補うための現実的な方法がもう一つあります。

2年長く働くだけで
老後資金は大きく変わる

 運用を取り入れても赤字が残ることに不安を感じるなら、働く期間を数年延ばすことが有効な対策の一つになります。 例えば、63歳で積み立てを終えた後、すぐに資産の取り崩しを始めるのではなく2年伸ばして65歳まで働きながら運用を続けるケースを考えてみましょう。

 1170万円の資産を2年間取り崩さず、年利5%で運用し続けると、資産は約1290万円まで増えます。これを20年間かけて取り崩した場合、毎月の受取額は約8万4000円になります。