6月21日のチュニジア戦でチーム2点目のゴールを決め喜ぶ上田綺世選手(中央)、鎌田大地選手(右)、中村敬斗選手(左) Photo:JIJI
WBCの独占配信で批判を浴びながらも過去最高の利益を叩き出した「Netflix」。一方、ワールドカップで新規加入を狙った「DAZN」は、“解約できない”月額980円プランで大炎上し、新規受付停止の事態に追い込まれました。同じスポーツの祭典を利用した戦略で、なぜこれほど残酷な明暗が分かれたのでしょうか?その裏には、単なる「独占配信」や「炎上」だけでは説明のつかない、DAZNが犯した“3つの致命的な失敗”が隠されていました。。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
月額980円の罠で炎上
DAZNとネトフリの差
スポーツの配信大手のDAZNがサッカーワールドカップの視聴契約でトラブルを起こしました。「月額980円」の表示で新規加入者を募集したのですが、これが情報弱者に誤認させるダークパターン(ユーザーを欺き、意図しない行動や選択を誘導するWeb上の設計手法)の契約になっていると批判を受け、謝罪、プラン停止に追い込まれました。
この件で思い出されるのは3月の野球のWBCを独占配信したネットフリックスです。侍ジャパンの戦いは地上波・BSなどのテレビ放送では見ることができず、見たい人はネットフリックスに新規加入するしか方法がありませんでした。加入初月のみの割引価格として広告付きが498円、広告なしが795円とネットフリックスは新規加入しやすいプランを用意しました。
「WBCの1カ月だけ契約して、直後に解約すればワンコインで野球が見られるし、その1カ月は映画や独占配信ドラマも視聴できるからまあいいか」
そう考えてネットフリックスと契約した人も多かったのではないでしょうか。
その経験でDAZNにも契約した人が今度は失敗したのです。今大会の全試合生中継が視聴できる「DAZN SOCCER(サッカー)」プランのキャンペーン画面には大きく「月額980円」の文字が掲げてありました。
これを見て、「ワールドカップ開催期間の2カ月だけ契約して、大会が終わったら解約すれば全試合を1960円で見られる」と思ったユーザーが契約をしたところ、1年間は途中解約ができないプランになっていることに後から気づくケースが続出しました。契約しばりは12カ月で、総額2万6340円のサブスク契約になっていたのです。
よく読めば小さくそう書いてある状態なのですが、情報弱者を誤認させる「ダークパターン」の手法ではないかとX上で炎上しました。
DAZNは、「一部月額プランと受け取れる記載がなされていたことが発覚した」と謝罪したうえで、誤認して契約したユーザーに対しては解約や返金対応を行うと発表しました。そして6月18日に「DAZN SOCCER」プラン自体の新規受付を停止しました。
こうして、国民的なスポーツの祭典を利用して新規加入者を増やそうとする戦略において両者は明暗を分けたのですが、その明暗の分け方が少し不思議な形なのです。







