というのも、ネットフリックスはWBCを独占配信することでメディアから大きな批判を浴びました。炎上という観点ではDAZNどころではない批判を浴びたにもかかわらず、ネットフリックス幹部が決算で「WBCは大成功だった」と言及しています。

 WBCをテレビで見られなかった国民から批判があった一方で、新規加入者が満足してネットフリックスを使い続けているのです。

 一方でDAZNは「DAZN SOCCER」プランで新規加入者から大きな批判を浴びましたが、世論はすでにこのニュースを忘れかけています。いったい何がどう違ったのでしょうか?比較してみましょう。

テレビで見られなかった
WBC独占が大成功したワケ

 まずはネットフリックス幹部がなぜ「WBCは大成功だった」と言い切るのか、結果を振り返ってみます。

 ネットフリックスは会員数について公表していませんが、WBCの際にはネットフリックスの国内利用者は1.3倍に増えたといいます。中でも日本vsオーストラリア戦の視聴者は1790万人と、それまでネットフリックスが日本で配信したコンテンツの中で歴代1位の視聴者数量になりました。

 新規層の開拓の視点では視聴者の3割を35歳未満が占め、女性比率も48%と半数近くに達しました。

 ネットフリックスの第一四半期(1~3月)の決算では世界売り上げが前年同期比16%増、純利益が同83%増の好決算になりました。中でも日本は有料会員の伸びで世界トップだったといいます。

 そして多くの新規顧客がそのままネットフリックスに残った様子です。独占ドラマの『地獄に堕ちるわよ』や実写版の『ワンピース』シーズン2など、魅力的なコンテンツが新規加入者にささった形です。

 とはいえ火種は残りました。地上波テレビ局はWBCについて明らかな塩対応になりました。試合の動画をニュースで伝える際の権利料が高いため、地上波テレビでは写真だけで報道する番組も出たくらいです。

 スポーツバーでもネットフリックスの動画をパブリックビューイング的に流すことが権利上できず、WBC期間中は閑古鳥が鳴きました。また高齢者層はネットフリックスの視聴方法すらわからず、侍ジャパンの活躍が見られないことを残念がりました。

 前述したようにネットフリックスは会員数を公表していませんが、日本の会員数は推定でWBC以前に1000万人超、WBC以降では1250万人程度だと言われています。要するに国民の1割から支持される一方で、9割の国民とメディアをある意味で敵に回した形になったのですが、お金を払っているのはその1割の支持者です。結果、ビジネスは成長できたのです。

 一方のDAZNはどうでしょう。まだワールドカップ開催期間中で結果を論じるのは早いという批判もあるかとは思います。しかしワールドカップの全試合の配信権を獲得したにもかかわらず、主力の「DAZN SOCCER」プランが新規加入停止に追い込まれたことで、日本では大失敗になったことは間違いないでしょう。

 ではどこで間違えたのでしょうか?以下で説明する3つのポイントそれぞれで、DAZNは何らかの失敗をしたと考えられます。そのことについて検証してみましょう。