ポイント1
独占配信ができなかったのか?
今回のワールドカップはWBCと違い、ほぼ国民の大半はテレビで応援しています。地上波のNHK総合チャンネルや日テレで日本戦が放映されています。BSならさらに多くの試合が放送されますし、BS4Kなら録画を含めて全試合視聴可能です。
これではDAZNに入るメリットはあまりないように思えますよね。それは当然で、実はサッカーのワールドカップは全世界的なコンセプトとして80億人がテレビで観戦できることが重要だと考えているのです。
ですから、ネットフリックスがWBCでやったように、テレビで見るならネットフリックスに加入しなければならないというような独占契約はFIFAの側が結ばないのです。
もちろん国によってはそれでも放映権料が払えず海賊放送をしていたり、放映権を獲得したテレビ局が破綻して放映中止が危惧されたりするようなケースはあります。しかし基本は「全世界の子どもたちがテレビでメッシやロナウド、エムバペの姿を見る」ことが大切なのです。
だからDAZNは、最初からテレビも含めた独占契約を結ぶ可能性はほぼほぼゼロだったはずです。その点ではネットフリックスのような戦略は最初から取れなかった。しかしひとつだけ失敗があったように思えます。
というのもNHKがテレビ放映権以外に、NHK oneでスマホの同時配信の権利を持っているのです。あくまでNHK総合で地上波放送した試合だけなのでチュニジア戦はだめだったのですが、オランダ戦もスウェーデン戦も、外出先ならスマホで試合を観戦できます。
この配信権に限っては、DAZNが独占するというのはビジネス的には交渉の可能性があったはず。仮にスマホアプリのNHK oneでは日本戦が見られないという状況が作られれば、スマホ配信に慣れている層がDAZNに加入したいと考える理由になったはずです。
ポイント2
ワールドカップ後に解約できるようにすべきだった
今回の炎上事件を考えると、DAZNの一番の失敗はここでした。ネットフリックスのようにお試し視聴で入ってくる新規加入者が多くなることは事前に想定できたはずです。それを解約できない設計にしたことが結果的にダークパターンだと批判を集める結果につながりました。
契約の観点では、きちんと年間契約であることを明記してあるのだから問題ないという人もいらっしゃると思います。ただ実際に社会問題になっているダークパターンは「その点を社会的弱者が認識できるかどうか」が問われます。炎上したのは必然でした。
そもそもネットフリックスでもWBC終了後にかなりの解約があった一方で、それでも新規加入者の定着が一定数あったこと、広告収入が大きく伸びたことが成功につながりました。
DAZNにとっても本当に獲得したかったのはサッカーのコアなファンのはずです。それをワールドカップを入り口に獲得したうえで、その後も毎日をサッカー漬けにするような価値のあるコンテンツをDAZNは持っています。
解約を減らそうと考える必要などなかったはず。そうではなくサッカーファンがDAZNを経験して、その一定数がDAZNを継続してくれれば成功であるにもかかわらず、欲張って解約不能のプランを作った点が最大の失敗だったのだと私は考えます。







