人手やコストをかけてでも
防火対策を丁寧にやってきた
落ち込んでいてもしょうがない、ピンチをチャンスに変えなければ。そう自分に言い聞かせないと、心が折れてしまいそうでした。
――それでも、すぐに操業を再開できたと聞いた。
社員が体を張って、破砕機を守ってくれたんです。破砕機はうちの命なんですよ。あれが壊れたら会社は完全に止まる。
大型重機に乗って、破砕機の付近に火が来ないよう可燃物を移動させ、守ってくれた。おかげで翌々日にはほぼ通常どおりの受け入れができました。本当に、不幸中の幸いでした。
――後処理でいちばん大変だったことは。
社員の気持ちですね。朝来たら、何もなくなっているわけです。ずっと働いてくれていた女性の社員が、泣いていました。現場のトップは、本当は泣きたかったはずなんです。
でも「社員の前では泣けない、隠れて泣いてください」と言われたほどで。たぶん、みんな隠れて泣いていたんだと思います。私も、うるっと来ました。でも、経営者が一緒に落ち込んだらいけない。
「ピンチをチャンスに変えよう」と声をかけました。ただ、ずっと現場を守ってきた人間にとっては、自分の家が燃えたのと同じなんです。同じ言葉をかけても、温度差はありました。
実は、リチウムイオン電池火災を消し止めるための消火剤や延焼防止剤に関する事業を、まさに本格化させようとしていた矢先だったんです。その直前の火災だったので、本当にショックでした。
――1カ月前の3月9日に、千葉市と連携して「リチウムイオン電池の資源循環モデルを構築する」と発表していた。具体的には、回収された小型充電式電池や小型家電の適正処理・再資源化を担う。
うちは決して、電池を雑に扱ってきたわけではない。ロボット掃除機などから取り外したリチウムイオン電池は絶縁テープで処理して、消火剤の入ったチューブと一緒にドラム缶に入れ、消火機能付のコンテナで保管する。
集めたものをそのままドラム缶に放り込んでいる会社もあると聞きます。うちは人手やコストをかけてでも防火対策を丁寧にやってきた――なのに、なぜ火災が起きたのか、と。







