写真:リーテムの中島佐智世社長リーテムの中島佐智世社長

リチウムイオン電池による発火・爆発事故が急増している。危険性を誰よりも知り、消火と延焼防止の事業を本格化させようと問題解決の最前線に立っていたリサイクル企業の工場ですら、リチウムイオン電池によって工場が大炎上した。全焼の状況と、リチウムイオン電池が「時限爆弾」になるメカニズムや「火がなかなか消えない」特性について聞いた。(イトモス研究所所長 小倉健一)

リチウムイオン電池による
発火・爆発事故が急増

 リチウムイオン電池(充電ができる電池)による発火・爆発事故が、ごみ処理施設やごみ収集車などで急増している。2023年度には、こうした事故が2万件を超えた。

 危険性を誰よりも知り、消火と延焼防止の事業を本格化させようとしていた老舗リサイクル企業が、まさにその矢先に自社工場(株式会社リーテム・水戸工場)で被災(3棟被害、うち2棟全焼)した。

 問題解決の最前線に立っていた当事者が、なぜ被害者となったのか。社長就任からわずか半年で工場火災に見舞われた中島佐智世社長に、全焼の記憶と、リチウムイオン電池の爆発のメカニズムや身近な発火リスクを聞いた。

――火災が起きたのは4月13日の深夜だった。何が起きたのか。

 水戸工場の国道を挟んだ向かいに、24時間営業のラーメン屋さんがあるんです。そこのお客さんが「火が出てる」と119番してくれた。工場の火災報知機が鳴ったのは深夜0時35分。通報のほうが早かったんですよ。

 休日明けの深夜で、工場は無人でした。だから、もし向かいのお店のお客さんが気づいてくれなかったら、発見はもっと遅れていたかもしれない。

一つのリチウム電池が
爆発しながら火花を散らして引火

――その知らせを受けたとき、どう感じたか。

 朝起きたらスマホに着信がたくさん来ていて、メールも届いていた。最初は「火事が起きちゃったか」という程度に思っていたんです。リチウム電池を扱う以上、当然、熱暴走や引火は起きうることなのですが……現場からきたメッセージを読み進めたら、今回は規模があまりに違った……ちょっと、言葉にならなかった。

 急いで現場へ向かったのですが、そこはもう現実とは思えない状況でした……ハリウッド映画のワンシーンのような……焼け果てた工場を前に呆然(ぼうぜん)と立ち尽くしました。悲しかったですね。小型家電のラインから作業場、食堂、更衣室まで、3棟が燃えてしまった。

 一つのリチウム電池が燃えて、他の電池に次々と引火し爆発していく。まるでロケット花火のように飛んでいった、と社員が言っていました。爆発しながら火花を散らして飛んでいくものだから、1カ所ではなく、あっちにもこっちにも燃え移ってしまったんです。

写真:老舗リサイクル企業・リーテムの水戸工場の火災発生後の状態(1)老舗リサイクル企業・リーテムの水戸工場の火災発生後の状態
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